意 -4- ページ15
だんだん息も荒くなって、たまにゴホッと咳をした。
出て行けと言われれば出ていく。
ひどいことも言われる覚悟だ。
なのにこの体はそれが怖いと無意識に呼吸器を刺激した。
「僕は大歓迎ですよ」
「そーちゃんがいーなら俺も。」
「ワタシも大歓迎です!」
「まぁ、七瀬さんの病気を持った彼女を放置することなんて出来ませんし」
「俺も!」
僕が考えていた言葉より返ってくる言葉は断然優しくて。
「あまり緊張しちゃダメだよ!
ほら、ゆっくり吸って、吐いてー…」
「…っ」
りっくんが言った通り僕はそれを行動に移した。
「はー…」
「ちょっとは楽になったかな?」
「そういえばおまえの名前聞いてねぇよな、教えてくれよ!」
薬神、これは前の苗字。
ここなら別にこの名前じゃなくても許されるだろうか?
この苗字は呪われた苗字だから…
嫌な記憶ばかり引き出す、呪われた苗字…
「しちじょう…七条Aです。
高校2年生、今は16歳です。」
バレるまでは、この苗字で。
「Aかー」
「よろしくね!Aっ!」
…まって。
「おーい、いきなり頭抱えてしゃがみこんでどうした?」
推しが、僕の名前を口にした。
僕の名前を!推しが!口に出したんだよっ!!
しんどい死んじゃう…
いや、もう1回死んだわ。
「発作…はい、発作です。」
「大丈夫?!」
「ちょっと心臓がドキドキして顔が見れなくなるだけなので安心してください。」
「本当に大丈夫かー?」
「六弥さんのオタク度がさらにグレードアップした末路だと思い下さい。」
「それはやばいな。」
数少ない友人にも病気扱いされるレベルでアイナナに依存してる僕ですから…
「じゃあAが来た記念に今日は豪華にするかっ!」
「えっ…そんな、いいです!
何も食べなくても生きて…まぁ生きていけます!!」
「いーから!遠慮すんなって!」
「三月!俺も手伝う!」
あわあわとしていると誰かにポンポンっと肩を叩かれる。
振り返るといおりんがこっちを見ていた。
「少しいいですか?」
「は、はい。」
________
______
なんか怒られるのだろうか。
いや、多分怒られても可愛いって思って済…んじゃだめか。
「…あなたのことを細かく教えてくれませんか。」
「…え?」
「あなたには興味があります。
七瀬さんの発作があなたに移ったなんてありえない話ですが事実みたいですし、どうして移ったのか私なりに研究したくて。」
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作者名:稜樹彩葉 | 作成日時:2018年2月1日 7時