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______でも、過去にそういうことが何度もあったのだ。
お母さんはキレやすい。
だから空気を読むのに必死なんだ。
この家にいるなら従わなきゃ、育ててもらってるんだから。
そう思えば思うほど、何か…沼に引きずりこまれるようなのに。
｢お風呂出たよ〜｣
｢髪乾かしてないなー？｣
｢自然に身を任せるのです…｣
｢悟り開くなー｣
｢いい加減な事言わないで下さい。｣
濡れたままの髪の毛は自然にある程度乾かそうと思っていた。
長い髪は乾かすのが面倒くさいんだよね…
｢しかたねぇな〜…ほら、乾かしてやるって。｣
｢えっ、いいの？｣
｢私ドライヤー持ってきますね｣
｢え、え？｣
あれ、私ちょっと思考が追いつかないぞ…？
｢さ！ココ座って！｣
｢うっ！｣
タオルで頭をガシガシとしてくるみっちゃんの手はすごく大きく感じる。
｢兄さん、どうぞ。｣
｢おぉ！ありがとなー！｣
ドライヤーのスウッチが入れられ髪の毛が本格的に乾かされ始めた。
ドライヤーとみっちゃんの手は温かくて安心するのか睡魔が襲う。
やばい…寝る…かも
｢…よし、終わった！｣
｢あれ…Aさん？｣
｢…はは、寝てるなー｣
｢疲れていたんですかね？｣
｢ただ単に安心して寝てくれたんなら嬉しいんだけどな｣
｢まぁ、ゆっくり寝かせてやろうぜ。｣
｢そうですね。｣
｢おやすみ、A｣
｢おやすみなさい。Aさん。｣
________
______
｢…て、起きて！
もー…｣
バチンッ！！
…容赦のない平手打ちが私を襲った。
｢いったぁ…！｣
｢ん…今…すごい音が…｣
｢おはよう、3人とも。｣
ソファーで座って寝てしまったあと、いっちゃんとみっちゃんは私を挟んでそのまま寝てしまっていたらしい。
その間に親達は帰った来て、起きないから私が平手打ちを…
ジンジンと痛む頬に自分の冷たい手を当てる。
よく見ると私の親だけではなくいっちゃんとみっちゃんの親もいた。
｢母さん達いつの間に帰ってきてたんだ…？｣
｢もー、戻ってくるなら先に言ってよー！
旅行の日ずらしたのにねー？｣
｢そうそう！｣
何気無い会話に、混ざれない。
言葉が喉で詰まるんだ。
すると私の親は思い出した様に袋の中からお土産を出していっちゃんに手渡した。
｢はい三月君、一織君。｣
｢いつもありがとうございます。｣
｢おぉ〜！｣
うちの親は、2人の分しか買ってこない。
それは和泉家族が知らないことなんだろうな。
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作者名：稜樹彩葉 | 作成日時：2017年9月23日 23時
