17冊目 ページ18
.
まさかの2袋目へと伸びる彼の手を叩き落として阻止し、
若干の焦燥感に脳内で追われつつも明司さんが示し出した意図がようやっと理解出来た。
成程、爆食王の胃袋にとっちゃ普通の量では足りないから
深夜テンションで理性のタガが外れた時にアホほど作って台所を荒らしちゃうんだな。
何ともお茶目だけれどちょー傍迷惑な原因に呆れ返り、ちっちゃい子に言い聞かせる様にして俯いた彼の顔を覗き込む。
『量を考えて下さい、量を！』
「別にいーだろ…今日食べれなくても結局全部食うし」
『台所の後片付けが出来ていれば文句はないけど、
既に苦情がきてるんすよ…九井さん』
相変わらずこの組織の人は皆一様に目の下には隈が、しかも付け加えて5徹と言うなら凄まじい疲労感と睡魔が祟ってくるだろうに。
甲斐甲斐しくも無茶な事をしている癖に、こんなときだけ黙り込む彼のプライドは筋金入り
そこらにいる脳筋バカとさして変わらないとは思いませんこと？？？
「1袋分は取り敢えずここに居る全員で食べるし
2袋目は(俺の)おかわり用だから、理にかなった量だ」
『…さいですか、程々にお願いしますわ』
クソガキみたいな屁理屈を捏ねる彼にほとほと呆れの声が出る割には、そこに絆されている僕も大概なのかも。
但し、幾らか可愛くても僕は彼から目を離して甘やかす訳にはいかず
尻尾と舌を巻いて大人しくしながらも後ろから見ていると
腰まで手を回されて作業台までグッと引き寄せられる。
海から釣り上げられた魚のようにワナワナと体を震わせ、口をはくはくと動かす僕の横には生意気な表情で口をニタリと開く彼の姿。
吃驚し過ぎて声も出ないのは当たり前だろう。
「見てるんならどーせ手伝ってくれ、早く食いてェ」
『いn、いやリョーカイです…。』
その積極的な言動は美人妻なあの幼馴染の方にしてくれませんか、と何気なく言いそうになったが
流石は僕の死んだ表情筋、言いかけた失態のフォローを卒無く熟して代わりに返事までしてくれたのだ。
毅然とした態度で飄々と包丁を取り出し、薬味用のネギを切り刻んでいると刃で指先を軽く刺してしまう。
『マジかよ、ウケる』
人差し指から滴る赤い雫が薄く線を描いた。
突然と眼前に現れる彼に目を見張る事となるとも知らず、呆然とその一点を見詰めては手当の方法を考え頭を捻る。
脳裏に浮かんだカニバリズムの6文字は、どうも強ち間違えとも言い切れないらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 154人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わいｔ - いつになったら更新してくれるんですか！楽しみすぎて死ぬって！！ (7月27日 22時) (
レス) @page35 id: 258f12dfbe (このIDを非表示/違反報告)
乾燥(プロフ) - くっ...好みすぎて...ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｯ無理しない程度に毎秒更新待ってますぬ... (2023年1月1日 18時) (レス) @page35 id: c00320f8c9 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 莉夢#梵天の信者さん» ありがとうございます！あわわ、神がおるww貴方様の作品も本当に大好きです。 (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
寝ん子(プロフ) - 雪の兎さん» ありがとうございます！これからも更新頑張ります(*^^*) (2022年10月19日 8時) (レス) id: 9e9a5a7301 (このIDを非表示/違反報告)
莉夢#梵天の信者(プロフ) - あぁ、、、好きです、、、(*‘ω‘ *)最高。 (2022年9月24日 16時) (レス) @page19 id: 9e38cf74ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：寝ん子 | 作成日時：2022年9月14日 7時
