Sugar Rush５[Shori.S]

#128 ページ8

お互いぎゅっと絡めた指が、沈黙で歩くこの空気感も


さっきまでとは全く違うものに変えてくれる。







彼が今 何を考えているのか知りたくて、
時々 表情を伺う為に顔を覗きこむけど




絶対にこっちを向いてくれない。







今 どういう気持ちで、


この先どうするつもりかはわからないけど、


私の動きだしてしまった気持ちはもう止められないよ。









前にもこんな事があったね。









無言で手を繋いだまま帰った あの日



彼のマンションの前で抱きしめられた。




今思えば あの時 既に 勝利くんの事 好きになってたのかもしれない。









私、勝利くんが 好きだよ。








改札で一回離れた手をまた引き寄せ、無言で 当然のように 繋ぎ直してくれる。







こんな チョットした行為ですら、今の私にとっては 胸が苦しくなるくらい幸せに感じてしまう。








最寄りの駅に着き、



もうちょっとで 離れなくちゃいけない、マンションまでの距離。









今まで一緒に帰ってきた時には 一度も感じた事のない淋しさに襲われた。









マンション前で手を離したら 今感じていた幸せが全部消えて、夢から醒めてしまうんじゃないかって思ってしまう。








繋いだ手から、繋がった想いも全て錯覚だったんじゃないかと思えてくる。








自然と歩くペースが落ちる。








あれ？？



気のせいか、勝利くんの歩くペースもゆっくりになったような…









彼の顔を見て確認すると、




私の思ってる事が伝わったのか、相変わらずこっちは見ないけど、やっと口を開いた。









勝「もうちょっと…このままでいたいじゃん？」





ドキッ///








こんな事 言われたら 胸がぎゅっと締め付けられちゃうよ。









『同じ気持ちだね///』






きゅっと 絡めた指に力をいれると、きゅっと握り返して応えてくれた。









言葉は少ないけど、勝利くんから発せられる一言一言が 私の胸にいちいち刺激をくれる。









勝「このまま お前の家まで行くか」









『え？ でも……勝利くん、また戻らないといけないよ』









勝「はぁ...。この手 離したくないの 。そのくらい わかれよ///」






やっとこっちを見た彼の顔は





薄明かりの街灯に照らされほんのり赤く、



幸せそうに見えて ドキドキが止まらない。

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