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4人で写真も撮れたところで帰ろうとすると、遠くにオレンジ色が見えた気がした。
｢A？どうしたの？｣
Aの表情が変わったのか、百合に心配された。
『いや、なんでもない』
きっと気のせいだろう。オレンジのナニカの袋か服だろう。オレンジ色のものなんてたくさんある。もし仮に気のせいではないとしても、二人には言ってはいけない。言ったら百合と夏実は興奮して帰ろうにも帰れなくなる。
気づかないように、気づかれないように帰ろうとする。
なのに、なぜ気づいてしまうの？
Aにとってありがたくない、クリスマスの奇跡である。彼女は、どうして気づいてしまうのか知りたかった。そっとしておいてくれれば、気づかれなければ、よかったのになぁ…と心の底から思うのだ。
｢あれ？あの人A先輩だよね？お〜い！Aセンパーイ！｣
あぁ、なぜ気づいてしまうの？休みの時くらいほっといてくれたらいいのに。ね？バレー部一年
_______日向翔陽？
先程の百合と夏実のように大きく手を振る彼を見て思う。
Aは、心底嫌そうにため息をついた。
━◈━◈━◈━◈━
｢A先輩！こんばんは！｣
走って駆け寄ってきた日向に挨拶を返す。
『…こんばんは』
｢こんばんは｣
｢こんばんは！｣
「こんばんわー！｣
Aは嫌そうに、伊織は普通に、百合と夏実は目をキラキラさせて嬉しそうに挨拶する。
Aは知らないふりをしたが、クリスマスまで一緒にいるのかと思うと、少しだけ羨ましく思う自分が彼女の中にいた。
｢クリスマスまで練習ですか？｣
ジャージ姿の集合に百合が聞く。
｢そうだよ、まあ午前中だけだけどね｣
澤村はそう答える。
｢ほなこないな時間までなにしてはったんですか？｣
｢部室でクリスマスパーティーしてたんだ｣
夏実の疑問に菅原が答える。
｢ええーっ！いいなぁ、クリスマスパーティー！私たちもパーティーすればよかったね。ね、A！｣
目をキラキラさせている百合にAと夏実は言う。
『百合が100%寝坊しないと約束できるならね』
｢エ”。大丈夫、しないから！私もいつも寝坊するわけじゃ無いし！｣
百合は思わず気が抜けた表情になるが、あわてて答えた。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2024年2月7日 17時
