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｢お待たせしました、じゃあ帰ろっか｣
四人でまた歩き始める。ここから家までは全員15分〜30分ほど。一番遠いのはAだが、祖母には遅くなると連絡済みだ。祖母からも｢ゆっくり楽しんでおいで｣と返信があるので、少しくらいなら遅くなってもいいだろうと思い、三人にあわせてゆっくり歩く。
キラキラとイルミネーションに輝く街頭が、少し眩しかった。
｢ねえ、写真撮ろう！｣
｢ええな、それ！撮ろ撮ろ！どこで撮る？｣
楽しそうに発案する百合と目を輝かせる夏実。しかし、キョロキョロと辺りを見渡しても見えるのは人、人、人。
そこで、伊織が思い出す。
｢人は多いだろうけどさ、駅前に大きなクリスマスツリーあったよね？あそことか…｣
｢｢そこだ！！！｣｣
と息を揃えていうと、ピューンと走っていってしまった。
『はやっ。もう見えないんだけど』
｢だね、迷子になってないといいけど…｣
保護者のようなことを口走る伊織にさすがと思いながら、二人が走っていった方を見る。
遠くで、誰かが動いた気がした。
なんだか、嫌な予感がする。
｢A？どうしたの？｣
『誰かが動いた気がして…』
｢そりゃ動いてるでしょこんなに人がいるんだもん｣
『そうなんだけど…何て言うのかな…会いたくない人が……なんでもない、まあいいや、見間違いだよ、きっと』
もしかして……？と最悪の考えを振り払い、伊織と一緒に歩きだした。
━◈━◈━◈━◈━
｢お〜い！｣
｢こっちや、こっち！｣
遠くで二人が大きく手を振る。そのため、すぐに見つかった。
｢お待たせ〜、早いね、二人共｣
｢ちゃうちゃう、そっちがとろいねん｣
『絶対走り出した二人が早い』
｢あー！もうそんなことはいいから早く撮ろう！｣
四人でクリスマスツリーの前に集まって、
｢ほら、笑って！ハイ、チーズ！｣
百合の合図で写真を撮る。
｢上手く撮れた？後で送ってね｣
｢私も！ウチにもちょうだい！｣
｢分かったから！今グループに送ったから！｣
スマホ震える。見てみるとL○NEに今さっき撮った写真が送られてきていた。
こうして四人で写真を撮れることすら、Aには嬉しかった。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2024年2月7日 17時
