・ ページ5
．
｢寒っ｣
百合が思わず声をあげる。外に出たとたん、容赦なく襲ってくる冷気に鬱陶しさを感じつつも、とりあえず駅まで足を進める。
帰る途中で、Aが夏実に声をかける。
『ねえ夏実？』
｢なんや？｣
『おすすめのお店、どこ？』
｢え？あーあー、あの時言ってたやつね！それなら……ほら！あっこ！｣
夏実が指を指した先には、おしゃれな洋菓子店があった。今日はクリスマス。ケーキを買っていこう、と思い、お店に入る。
｢いらっしゃいませー｣
お菓子の甘い香りが広がる店内は、和菓子店とは違い、たまには来ようと思うナニカがあった。
夕刻で、たくさんの商品は売り切れてしまっている。何にしようかと悩んでいると、チリンチリンとドアが開く音が聞こえたが、お構いなしに選び続ける。
ようやく何にするか決まったため、店員さんに声をかける。
『すみません、えっと、これとこれとこれと……あとは』
｢『これ…………え？』｣
着々と3つ選び、ラスト1個だったショートケーキを選ぼうとすると、誰かと被る。
思わず声のした方を見ると、思わずゲ、と声が出る。
そこにいたのは、背の高い眼鏡の人。
｢あれ？センパイじゃないですか。こんなところでどうしたんですか？そんなに食べると太りますよ｣
──月島だった。
なぜ、クリスマスまでバレー部員に会わないと行けないのか。Aは顔をしかめる。
一刻も早く帰りたかったので、ショートケーキを諦め、他のものに変える。大急ぎでお会計を済ませて商品を受け取ると、月島に声をかけずにお店を出た。
━◈━◈━◈━◈━
たくさんの買い物袋を抱え、駅へ向かう。そろそろ年末。帰省する人が多いのか、それともカップルが多いのか、駅は少し混雑していた。
｢A、今何時？｣
『4時半ちょい過ぎ』
辺りは暗くなりはじめ、ライトアップがされている。
｢イルミ見たいしカフェでも寄ってから帰ろうか｣
伊織の鶴の一言で、カフェによることが決定した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：七瀬月華 | 作成日時：2024年2月7日 17時
