【HQ!!】冷徹少女とバレー部員番外編 (ページ31)

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結局、そのまま家まで送ってもらった。何度か断ろうとしたけども、いいから、と押しきられたから。
家について、ようやく荷物が自分の手元に帰ってくる。荷物を受け取り、渡った重みに、こんなに持たせていたのかと罪悪感が襲った。

「じゃあ片桐、またな。及川が何かやらかしたらすぐに呼べ。事後報告でもいいから連絡しろ」

どこか過保護な岩泉先輩に、私は、はい、と返事するしかなかった。

それでは、と家に入ろうとしたとき、それから、と先輩が引き留めた。何かしたかな。連絡先はついさっき交換したんだけどな。

「お前、無理しすぎんなよ。その笑顔、嘘だろ？」

時が止まった気がした。数時間でばれるとは微塵も思っていなかった。確かに演技だったから、嘘の笑みだったけれど、自然にできてたはずだから。どうしてわかったの？言葉が、出てこない。

「その張り付けたみてぇな笑顔は及川(あいつ)のとよく似てる。一人で抱え込みすぎんなよ。友達に愚痴ったっていいんだ。壊れるなよ」

どきりとした。どうしてこんなにも見透かしたように言うんだろう。これから関わるかもわからないのに。

「及川(クソ川)たちが気づいたのかは知らねぇ。でも、あいつは俺の幼なじみだ。似たような笑顔だからさすがに気づく。いいか？自分を追い込みすぎるな。片桐は一人じゃねぇよ」

なんだか、ぽかぽかと暖かい。岩泉先輩の言葉が、体を包んでくれる感じがする。鼻の奥がツンとした。

『岩泉先輩、ありがとうございます！』

泣かないように、元気にありがとうを伝える。うまくわらえているかな。

「いい笑顔じゃねぇか」

先輩はそう言って笑う。そのまま、頭を撫でてくれた。毛の流れに沿ってそっと撫でる及川先輩とは違って、どこか乱雑で髪がくしゃくしゃになりそう。でも、先輩の暖かい手のひらが気持ちいい。なんだか、とても安心した。