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「お、及川さんだぁ…！本物…！」
頬を染めて興奮する百合。その反応を見て、彼はニコニコと笑ったままだ。
「ちょっとマッキーもまっつんも先に行かないでよ。ずるい！だから俺も混ぜて」
「ずるかねぇよ！いつもいつも及川ばっかじゃねぇか！」
ピンクベージュの彼が言う。隣で黒髪の彼もウンウン、とうなずいていた。
「あの、皆さんのお名前を聞いてもええ？ウチ、梅川夏実っていいます！よろしゅう頼んます！
」
「あ、夏実、抜け駆けダメ！ずるい！私、藤村百合です！よろしくお願いします！」
「夏実ちゃんと百合ちゃんね、よろしく〜。知ってるだろうけど、俺は及川徹ですっ！」
「マッキーこと花巻貴大でーす」
「まっつんこと松川一静でーす」
三人が楽しそうに自己紹介をする。及川が「そっちの二人の名前は、」と聞こうとした途端、彼のうめき声が聞こえた。
「痛いじゃないか岩ちゃん！いきなり叩くことないでしょ!?」
後頭部を押さえながら及川は後ろを向く。そこには、腕を組んで険しい顔をした男が立っていた。
━◈━◈━◈━◈━◈━
場所を変わってファミレス店。そこには男子高校生4人と女子高生4人が同じテーブルを囲んでいた。
「すまねぇな、わざわざこいつらのわがままに付き合わせちまってよ」
彼は岩泉と言うという。及川の幼なじみらしく、彼の世話係のようなものだろう。
「いえいえ、大丈夫ですよ」
伊織が笑って返す。Aは頼んだ飲み物に口をつけていた。
「
Aは及川の言葉ににこりと笑い返す。咄嗟についた偽名のためか、彼らはAだと気づいていないようだった。
「金はこっちで払うから、好きなもん頼んでくれ」
「え、岩ちゃん奢ってくれるの!?やったね」
「アホか。俺らが出すんだよ」
「フゥー！岩泉男前ー！」
「よっ、モテ男！日本一！」
青城のやり取りを間近で見ることのできて興奮気味の百合と夏実。申し訳ないから、と伊織が断ろうとするも岩泉がいいっていいって、となだめる。いたちごっこである。
「華奈ちゃん、これもどう？お金は払うし好きなだけ頼んでいいからね！」
『申し訳ないですし、いいですよ、私はこれで充分ですから』
「そう言わずに！」
及川がAに話しかける。彼女はニコニコと笑って返す。料理が運ばれて来て、和気あいあいと食事を楽しんだ。
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作者名：七瀬月華 | 作成日時：2024年2月7日 17時
