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"「白鯨の再浮上は無理でも、
大質量で無理矢理叩き落せば街に届く前に墜落させられる」"
その大質量は、鏡花ちゃんの乗る無人機。
白鯨を見つめたままの視界に其れらしい影が
映った。
影は迷う事なく白鯨に向かっている。
"「鏡花ちゃん、君も疾く脱出するんだ」"
"「無理」"
"「………え?」"
自分が虜囚で脱出装置のある部屋まで行けないことも、
それを諦めて欲しいと語る時も、
声は何処までも冷静だった。
まるで此れが本望だと言わんばかりに。
"「命を犠牲にして皆を助ければ
きっと私は入社試験に合格できる。
探偵社員になれる。
なら何も惜しくはない」"
"「止めるんだ!!」"
『…無理だ…っ』
止めることは出来ない。
無人機はもう白鯨の目の前に居るのだから。
刹那
共に大質量の物同士が衝突する爆音が響き渡った。
恨めしくも、白鯨が能力発動に十分な時間に達するのと同時に。
大量の黒煙を纏い乍ら、白鯨は海に大きな波を生んだ。
.
◆ ◆ ◆
.
「如何して、彼女が……如何して……」
脱出した敦さんを引き上げても尚、白鯨の沈んだ
水面からは煙が立ち上って居る。
大き過ぎる喪失感と遣る瀬無さに僕はずっとその
煙を見ていた。
僕は
何も
何も出来ていない
何を守れたのだろうか
頬に一筋、二筋と線が走った。
.
.
「これで善かったのだよ、敦君」
積まれたコンテナの間から現れたのは彼奴だった。
「鏡花ちゃんは自分に克ち、街を救った。
探偵社に相応しい高潔さでね」
彼女は望みを叶えた
でもそれで死んじゃったら何の意味も無いじゃないか…!
敦さんの言うように、鏡花ちゃんが死ななきゃならない理由なんて何処にも無いのに……!
「…確かに厳しすぎる結末だね。
でもそうしなくてはならない理由があったのだよ」
此奴の背後から聴こえるもう一つの足音。
同じくコンテナの間から現れたのは
『社長…』
馴染んだ和装の社長だった。
社長の能力"
敦さんが虎になって暴れる事なく今迄過ごせて居るのは探偵社に入ったから。
「そして鏡花ちゃんは試験に合格した。
衝突の直前にね。
それが如何言う事か判るかい?」
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闇少女(プロフ) - ありがとうございます!お願いします! (2018年4月17日 21時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
のら猫(プロフ) - あ…あ…ありがとうございます…!( ;∀;)黒蜥蜴!確かに出てなかったです!ザアパルク後ら辺にいきます(*´-`) (2018年4月17日 7時) (レス) id: 92e6776368 (このIDを非表示/違反報告)
闇少女(プロフ) - 黒蜥蜴と絡んでほしいです。更新頑張ってください! (2018年4月16日 17時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のら猫 | 作成日時:2018年4月8日 17時