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建物の上を次々と足掛かりにしながら、
あの空の揺らぎに近い港を目指す。
地上に降りる時間勿体無いから。
そんなに間隔空いてる訳じゃないから大して苦でもない。
その港に着く頃
揺らぎは確実に白鯨の形をとり、透けていた姿も
その全貌を現し始めていた。
『……デカいな…』
空に浮かぶ鯨
其れが今や其れ程高くない上空に迫って来て居た。
見て居る間にもどんどん高度を落としていて、
いよいよ此れを街に落としてはいけない責務感が募る。
"「清君。其方は如何だい?」"
"『目視は出来た。…けど、この大きさじゃ……
間に合うか判んないぞ…』"
既に空に揺らいでいた時から見始めて五分は経っているけど、一向に時間が来ない。
其れだけ大きさも質量も、今迄とは桁違いと云うことか。
そして何より
"『、落ちてくる
少し前まで、まだ空に浮かんで居たはずの鯨は
今吊り橋の柱の先端に届きそうな程接近している。
あの高さじゃ元の高度に戻る前に墜落するだろう。
.
.
その時
鯨の身体が衝撃で揺れた。
何か力と力がぶつかり合う様な衝撃は、地上に
居ても見える程だ。
其れと同時に白鯨の降下も止まった。
『止まった……?』
敦さんか?あの光は…
インカムから流れている音声はいつの間にかノイズ混じりの雑音と化していて、聞くに耐えない。
.
そのノイズの向こう。
誰かの声が聞こえる。
"「……体…」"
"「…れば……ど…なって…」"
"「……目だ、こっちの操作も受け付けない!」"
"「此の侭じゃ落ちるぞ!」"
『!』
弾かれる勢いで視線を戻せば、
また降下を始める白鯨の巨体が映る。
一度は止まった筈じゃないのかよ……!
音声に先刻聴いた男性の声が混じる。
外部から何者かが侵入し、機関部制御を奪っている
詰まりハッキングを受けていると。
じゃあ白鯨に乗ってる敦さん達でも如何にも出来ない、のか…?
.
.
"「未だ方法はある」"
凛とした、まだ幼さの残る少女の声。
これは
『鏡花ちゃん…?』
少しの迷いも動揺も感じさせない声は、淡々とその方法を紡ぐ。
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闇少女(プロフ) - ありがとうございます!お願いします! (2018年4月17日 21時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
のら猫(プロフ) - あ…あ…ありがとうございます…!( ;∀;)黒蜥蜴!確かに出てなかったです!ザアパルク後ら辺にいきます(*´-`) (2018年4月17日 7時) (レス) id: 92e6776368 (このIDを非表示/違反報告)
闇少女(プロフ) - 黒蜥蜴と絡んでほしいです。更新頑張ってください! (2018年4月16日 17時) (レス) id: 86db96a001 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のら猫 | 作成日時:2018年4月8日 17時