南の島4 ページ39
この狙撃場所は私の提案だった。
私達を極端に警戒していることは承知。だからダミーまで用意して水中に潜んでみたわけだ。
全てが整った。
もらった！！
頭では考えず、感覚と本能に引き金を引かせた。3つの弾は流星の如く、鋭かった。
そのとき、閃光が辺りを包み込んだ。
｢ッ！｣
その衝撃で吹き飛ばされ8mは後退した。音を立てながら消えゆく光。
｢や…殺ったのか！？｣
烏間先生の指示の元、水面に注意を巡らす。すると、イルカを指揮していた倉橋の船の側に
｢あっ｣
ブクブクと泡がたっている。互いに頷き合い、クラスメイトたちは銃口を向けた。
プカァ
｢ふう｣
次の瞬間浮かび上がってきたのは、殺せんせーが入った球体。
何アレ！？
｢これぞ先生の奥の手中の奥の手、完全防御形態！！｣
得意気に語る殺せんせー曰く、縮めた肉体を余ったエネルギーで包んだ、ということらしい。そんな手まで隠し持っていたとは。
｢…そんな。じゃ、ずっとその形態でいたら殺せないじゃん｣
矢田が言う。ここまでやってきた身としては絶望するに容易いだろう。それに殺せんせーが答える。
｢ところが、そう上手くはいきません｣
この形態は24時間経てば自然崩壊し、元に戻るとのこと。
｢…あ、てことは殺せんせー動けないじゃん｣
｢ええ｣
その間に手を打てないのか。
｢その点はぬかりなく調べ済みです。24時間以内に先生を処分できる手段は、今世界のどこにも無い｣
打つ手なし…。
半壊した橋の上に腰を下ろす。水中に潜んでいたわけだから当然水着姿。風が冷たかった。
｢チッ、何が無敵だよ。何とかすりゃ壊せんだろ、こんなモン｣
寺坂が結晶を叩くが殺せんせーは余裕の表情。しかし、天才がいた。
｢そっか〜。弱点無いんじゃ打つ手ないね｣
カエデにスマホを受け取るカルマ。奴の考えることがロクなはずがない。
｢にゅやーッ！！｣
カルマは私が以前送ったセミの格好で趣味を満喫する殺せんせーの姿、それを殺せんせーに惜しげもなく見せた。
｢やめてーッ、手が無いから顔も覆えないんです！！｣
｢ごめんごめん。じゃ、とりあえず至近距離で固定してと…｣
｢全く聞いてない！！｣
カルマはスマホをその辺の石で立てる。
｢そこで拾ったウミウシもひっ付けとくね｣
｢ぶにゅああああッ｣
ねっとりとしたウミウシとそれに叫ぶ殺せんせー。
｢ねーA、不潔なオッサン見つけてきてー。これ、パンツの中にねじ込むから｣
｢助けてーッ！！｣
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
