南の島2 ページ37
｢おかげで真っ黒に焼けました｣
｢黒すぎだろ！！｣
満足気な殺せんせーに炸裂するツッコミ。顔だけ見たら、どちらが前なのか後ろなのか、表情も読み取れない。
｢じゃ、殺せんせー。メシの後暗殺なんで、まずばレストラン行きましょう｣
ルンルン気分の殺せんせーと後を追うクラスメイトたち。
｢今回ぐらい、気合い入れて殺るとすっか！｣
と意気込む寺坂や村松、吉田。
｢やっとやる気になった暗殺だもんね｣
と軽口を叩くと、
｢うるせぇ｣
と、無駄に体格のいい寺坂にシメられた。
その後は船上ディナー。殺せんせーを酔わす目的だ。
｢ねぇ、A｣
日焼けした肌を奥の手の脱皮で元通りにし、それと同時に戦力を削ぐ殺せんせーを横目に豪華な夕食を食べていると、ビッチ先生が話しかけてきた。
｢ん？ 何、ビッチ先生｣
ナプキンで口の端についたソースを拭いながら言う。ビッチ先生は何やら神妙な顔。
｢なんか様子がおかしいわ｣
ビッチ先生は言ったが、私は当然何のことやら状態。
｢どういうこと？ とりあえず主語は？｣
｢なんというかあんた達からたまに感じるのよ。あとは…島全体かしら？｣
酷く曖昧だった。
｢うーん…まぁ、一応警戒はしておくよ。どちらにせよ、これから暗殺だし｣
ビッチ先生は潜入暗殺のプロ。標的(ターゲット)や標的に近い人間との接触は不可欠。
そのときに役に立つのがコミュニケーション能力や、相手の気分や健康状態、その場の雰囲気などを瞬時に見抜く能力。だから蔑ろにもできない。
このホテルには、私達4班が潜っていた辺りに水上パーティールームが浮かんでいる。
｢さぁて、殺せんせー。メシの後はいよいよだ｣
｢会場はこちらですぜ｣
偶然先頭に立つ前原と菅谷が言う。結局酔った殺せんせーは、どこからか持ってきた棒を杖にして何とかついてきている有様。
｢いやー、水上にパーティールームねぇ…粋な設備も整ってるたァ、流石名門私立のお墨付きホテル｣
私が言うと、決行場所を目の当たりにした殺せんせーは嫌な汗を流す。
｢ここなら…逃げ場はありません｣
磯貝が不敵に笑った。その背後には、その他の触手破壊権を見事手に入れた6人の姿も。
パーティールームの中では…
｢さ…席につけよ、殺せんせー｣
ディナーをパスし、既に準備に取り掛かっていた三村と岡島。この2人は最初の｢精神攻撃｣に一役買っている。
ちなみに、私は今この場にいない。
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
