1学期 終業 ページ30
期末テストが終わり一段落。お次は終業式だ。E組の数人で本校舎までやって来た。
｢おお〜やっと来たぜ、生徒会長サマがよ｣
寺坂が嘲笑を浮かべる。浅野はこちらを軽く睨むと、
｢何か用かな。式の準備でE組に構う暇なんて無いんだけど｣
とふてぶてしく言う。
｢おーう待て待て。何か忘れてんじゃねーのか？｣
構わず突き進もうとする浅野を寺坂が引き留める。
｢浅野、賭けてたよな。要求はさっきAがメールで送信したけど、あれで構わないな？｣
｢くっ…｣
瀬尾が臍を噛む。何も言えないらしい。
式が始まる。よく分からないが、出席番号関係なく五十音順に並ぶよう指示された。カルマはどうせいないから先頭か、などと考えていたのだが。
｢お、珍し｣
｢だーってさ、今フケると逃げてるみたいでなんか嫌だし｣
カルマはそう言った。
『夏休みと言っても怠けずに…E組のようにならないよう』
トップ争いの直後だからか、ハゲのキレが悪い。笑い声も一切しなかった。
殺せんせーのいない場で前を向けたのは、やはり殺せんせーのおかげなのだ。
｢ひとり1冊です｣
教室に戻る。
そこには表紙よりも背表紙の面積の方が大きい｢夏休みのしおり｣だ。
｢…出たよ、恒例過剰しおり｣
｢アコーディオンみてーだな｣
｢こんなの持って帰らす気？｣
と嘆く私達に殺せんせーは
｢これでも足りないくらいです！ 夏の誘惑は枚挙にいとまがありませんから｣
と言って渡し続ける。いざ受け取ってみると、予想以上の重量に驚いた。
｢さて、これより夏休みに入るわけですが皆さんにはメインイベントがありますねぇ｣
｢ああ、賭けで奪ったコレのことね｣
莉桜がパンフレットをチラつかせる。そう
｢夏休み！！｣
｢椚ヶ丘中学校特別夏期講習！！｣
｢沖縄離島リゾート2泊3日！！｣
本来はA組に与えられるはずだった夏期講習…実態はただの観光旅行みたいなものだ。
｢君達の希望だと触手を破壊する権利は教室で使わず、この離島の合宿中に行使するという事でしたね｣
磯貝が提案したのはこれである。
｢触手7本の大ハンデにも満足せず、万全に貪欲に命を狙う。正直に認めましょう、君達は侮れない生徒になった｣
確かに、私が暗殺教室(ここ)に来たときとは比べ物にならないレベルに暗殺教室だ。
｢これは標的から暗殺者への通知表です｣
教室に舞う二重丸。
｢暗殺教室、基礎の1学期、これにて終業！！｣
その後、教室に置いてきたしおりは自宅に届けられた。
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
