1学期 期末テスト3 ページ23
｢なんならこっちは…命かけても構わないぜ｣
笑うコイツの言葉は軽かった。しかし、
ピタッ
｢命は簡単に賭けない方がいんじゃない？｣
シャーペンを回しながら言ってやる。殺せんせー程速くはないが、素早くペン先の金属部分を首に押し付けて行ったのだ。
｢じょっ…上等だよ。受けるんだな、この勝負！！｣
｢死ぬよりキツい命令を与えてやるぜ！！｣
捨て台詞を吐いて逃げ去った。ある者は首を押さえながら。
この騒動は全校の知るところとなったらしい。
ふあ〜あ
｢こらカルマ君、真面目に勉強やりなさい！！君なら充分総合トップが狙えるでしょう！！｣
左では大欠伸をするカルマとそれに怒る殺せんせー。欠伸が伝染ってしまったではないか。カルマは、というと
｢言われなくとも ちゃんと取れるよ。あんたの教え方が良いせいでね｣
と、顔の上の本を退かせて言う。
｢けどさぁ、殺せんせー。あんた最近『トップを取れ』言ってばっかり。フツーの先生みたいに安っぽくてつまらないね｣
殺せんせーの顔は黄色い。が、思うところある、といったところか。
｢まーまー殺せんせー。それよりどーすんの、賭け。A組(アイツら)、なんか企んでそうだけど｣
私が諌めながら言うと薄々思っていたのだろう、数人が顔を曇らす。
｢心配ねーよ、A。このE組が、これ以上失うモンありゃしない｣
｢勝ったら何でもひとつかぁ。学食の使用権とか欲しいな〜｣
楽天的に笑う岡島と倉橋。学食とやらも1度見てみたい。
｢ヌルフフフ、それについては先生に考えがあります。さっきこの学校のパンフを見てましたが、とっても欲しいものを見つけました｣
殺せんせーが言う。どこからか取りだした｢ーすくすくを、目いっぱいー椚ヶ丘学園｣と銘打たれたパンフを指さす。
｢これをよこせと命令するのはどうでしょう？｣
！！
｢君達は1度、どん底を経験しました。だからこそ次は、バチバチのトップ争いも経験して欲しいのです｣
触手にアレ。
気を取り直し、ペンを握った。
｢明日には期末…｣
通学路で呟いた。その日は刻一刻と近づいている。
国語の文章読解の練習を中心に、9教科分の復習からアルファベットや漢字、ひらがな、カタカナの練習、凡ミス回避の極意を叩き込まれた。
｢ん？｣
少し先にオレンジ色の頭。制服にも見覚えがあった。
｢浅野｣
｢ん？ …なんだ、天羽か。奇遇だな｣
よく見ると彼は参考書を手にしている。
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
