襲来5 ページ16
｢良いけど…実行できんの？ 死ぬかもよ｣
｢やってやンよ。こちとら実績持ってる実行犯だぜ｣
意気揚々と寺坂は歩み出した。
｢え、まだ作戦考えてないけどもう行くの？｣
｢え。あ、うん まだなの！？｣
折角の雰囲気が台無しだ。そこで思い出した。
｢あ。そういえばもう1個爆薬仕掛けたんだった｣
｢はァ！？｣
寺坂に睨まれる。
｢そんな大事なこと忘れてたの？ まぁいいや、どんな用途の？｣
カルマにまで言われる。確かに今回ばかりはこちらに非がある。
｢オモチャみたいなもん。まぁ、盛大な雨降らせるくらいなら出来んじゃね？ ほれ、リモコン｣
｢いいじゃん、それ｣
フェイクは色々と考えていた。なるべく危険を減らそうと小さい爆薬を仕込んだは良いが、その後は臨機応変に対応できるよう。
｢思いついた！ 原さんは助けずに放っとこう！！｣
嬉々として言い放ったカルマ。
｢おいカルマ、ふざけてんのか？ 原が1番危ねーだろうが！！ ふとましいから身動き取れねーし、ヘヴィだから枝も折れそうだ！！｣
こんだけ大声なら本人に聞こえているだろう。カルマは良い笑顔で言った。
｢俺を信じて動いてよ。悪いようにはならないから｣
この男は賢しい。イタズラの限度も知っているし、きっと大丈夫。
｢おいシロ！！ イトナ！！｣
指示を仰いだ寺坂は戦場へ向かった。
｢イトナ！！ テメェ、俺とタイマン張れや！！｣
シャツを水で濡らすと、立ち向かう寺坂。
｢止めなさい、寺坂君！！｣
｢すっこんでろ、ふくれタコ！！｣
殺せんせーの制止も聞かない。
カルマの計画(ビジョン)は大方こうだろう。
寺坂のシャツを武器に食らいつく。
会話などは聞こえにくいが、イトナの触手を食らった寺坂。しかし、持ち前の根性で耐え抜いた。尚、余裕をぶっこくシロだったが…
くしゅんっ
くしゅん…くしゅん…イトナは何かに当てられたようだ。シロも疑問符を浮かべている。
｢寺坂のシャツは昨日と同じ…って事は昨日教室撒いた変なスプレー、アレを至近距離でたっぷり浴びたシャツって事だ｣
あれはそうだ、殺せんせーの粘液を出し尽くしていた。なら、同じ触手を持つイトナだって…。
バキッ
物音がした。木の枝が折れるような…。
それに気づいたイトナはバッと振り返る。そこには、無事原を救出した殺せんせーの姿。
｢で、イトナに一瞬でも隙を作れば、原さんはタコが勝手に助けてくれる｣
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
