襲来3 ページ14
昼食の時間。
パンを口に含みながら教室の隅を見るが、その席に寺坂はいない。
先程から涙…ではなく鼻水だそうだが、ぐずぐず言っている殺せんせーも気になる。まず超生物が夏風邪を引くのか疑問だ。
すると、扉が開く。そこには寺坂が。
｢おお寺坂君！！｣
殺せんせーは寺坂の元へ行く。鼻水を垂らす殺せんせーに寺坂は驚愕する。
｢昨日君がキレたことならご心配なく！！ もう皆気にしてませんよ。ね？ ね？｣
｢…うん。汁まみれの寺坂の顔の方が気になる｣
顔を向けられ引き気味に答える。
寺坂は殺せんせーのネクタイで顔を拭い、
｢おいタコ、そろそろ本気でブッ殺してやンよ。てめーら全員手伝え！！｣
そう語る寺坂だが言わずもがな空気は冷たい。
｢…寺坂。おまえずっと、皆の暗殺には協力して来なかったよな｣
最前列で近くにいた前原が詰め寄る。
｢命令されて…皆が皆、ハイやりますって言うと思うか？｣
｢ケッ、別にいいぜ来なくても｣
ピシャッと刻み良い扉の音、不満の声。そこにはそれしかなかった。
殺せんせーの説得で結局暗殺に参加することとなった。私は元から参加するつもりだったが。
｢なるほど。先生を水に落として皆に刺させる計画ですか｣
寺坂が“皆に話した”計画はそのとおりだ。
｢それで君はどうやって先生を落とすんです？｣
笑う殺せんせー。それは皆も思っていた疑問らしい。寺坂は暫し、その手のエアガンを見る。
｢…覚悟はできたか、モンスター｣
｢もちろんできてます。鼻水も止まったし｣
2人は面と向かって会話する。
｢ずっとテメーが嫌いだったよ。消えて欲しくてしょうがなかった｣
｢ええ知ってます。暗殺の後でゆっくり2人で話しましょう｣
殺せんせーはナメている。それに青筋を立てた寺坂は引き金を引いた。
｢皆、岩場に！！｣
引き金が引かれる直前、私は叫ぶ。
今朝、爆弾を見つけた。それで計画の全貌を察した私は仕掛けを付け替えた。
きっと寺坂のバックには何者かがいる。根拠はないが、大方“アイツ”だ。寺坂は騙されて動いているだけ。
確かに爆発はさせた。でなければ黒幕は現れない。だから私は、今用意できる中で1番爆風が強く威力の弱い爆薬をセットしたのだ。
｢え…｣
爆発自体予想外だろう。寺坂は戸惑いを隠せずにいる。しかし、そんなことはどうでもいい。薄々予想はしていたが、クラスメイトの何人かは流されてしまった。
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
