教官3 ページ1
翌日、早速鷹岡先生の体育が始まった。
｢終わったらまた、ウマいモン食わしてやるからな！｣
｢そんなこと言って、自分が食いたいだけじゃないの？｣
｢まーな。おかげ様でこの横幅だ｣
莉桜が揶揄うとクスクスと笑い声。一応馴染んだらしい。
｢…カルマどうしたの｣
｢サボるからよろしくね｣
カルマがサボる姿は数度しか見たことがない。私が転入してくる以前は無茶をしていたらしいが。そんなことに気づく様子もなく、鷹岡先生は言う。
｢あと、気合い入れのかけ声も決めようぜ。俺が｢1･2･3｣と言ったら、おまえら皆でピース作って｢ビクトリー！！｣だ｣
｢うわ。パクリだし古いぞ、それ｣
日本で以前流行ったものなど知らない私はついていけない。
｢やかましい！！ パクリじゃなくてオマージュだ！！｣
そこにいるのが烏間先生であれば、こんな風に笑うこともなかっただろう。
｢さて！ 訓練内容の一新に伴って、E組の時間割も変更になった｣
そう言って鷹岡先生はプリントを回す。それを受け取った私は目を見開いた。他の皆も驚きを隠せないようだ。
｢理事長にも話して許可をもらった。この時間割についてこれれば、おまえらの能力は飛躍的に上がる｣
｢無理だぜこんなの！ 勉強の時間これだけじゃ成績落ちるよ！ 遊ぶ時間もねーし、できるわけねーよ！！｣
前原が抗議する。私は空気の移行きを感じた。まずい。
鷹岡先生は前原の鳩尾に膝を入れた。地面に投げ捨てられた前原。
｢｢できない｣じゃない、｢やる｣んだよ。世の中に…父親の命令を聞かない家族がどこにいる？｣
以前、この教室に来たばかりのビッチ先生の様子を聞いた。この男はきっとそれ以上。
｢な？ おまえは父ちゃんについてきてくれるよな？｣
今度は神崎の頭を撫でる。このとき、｢やはり父親という言葉は嫌いだ｣とハッキリ思った。
…神崎の足が震えている。先程の前原を見れば無理はない。
｢…は、はいあの…私…｣
神崎は勇気を振り絞った素振りで前を向いた。
｢私は嫌です。烏間先生の授業を希望します｣
慈悲深い笑みは誰もが安心する。しかし、この場では逆効果。
｢神崎さん！！｣
鷹岡先生は神崎を殴り飛ばした。杉野が走る。
｢｢はい｣以外は無いんだよ。文句があるなら拳と拳で語り合おうか？ そっちの方が父ちゃんは得意だぞ！！｣
まさかの暴力教師。立ち上がろうとしたそのときだった。
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作者名：京陽 | 作成日時：2019年12月2日 11時
