15 白兵戦の鬼の本音 ページ29
*
「まぁ復縁出来ないなんて分かりきってたけどよ……
辛いよぉ……」
「六車の兄貴……飲み過ぎですよ」
京極組に幹部として迎え入れられた六車謙信はただいま傷心真っ最中だ。
10年前、ある組を壊滅に追い込んだ六車が今回出所するとの情報を
得てその残党が報復として当時内縁関係にあった美智子という女性を
連れ去って揺さぶりをかけた
当然、美智子は男達から暴行を受けて……
「極道の女はロクな事がない。慰謝料頂戴よ」と完全に破局した
「今日くらいは飲ませてくれぇ……」
「駄目ですって」
先程まで久我も一緒に慰めていたのだが、一条からの連絡を
受けて一足先に離脱。もしここで酔い潰れた時、介抱するのは
Aしかいない
「(ちょっと!)」
「よし、もっと付き合え。これは兄貴の命令だ」
「そんな理不尽な……」
________
「もう!いい加減にしてください!」
「うぉっ!?」
未だにくだを巻く六車に我慢の限界を迎えたAはグラスを
取り上げた。そして……
__ペシッ
「なっ、お前何すんだ?」
「デコピンですよ。本当はビンタしたいとこですけど
兄貴相手にそんな事出来ませんから」
ため息をつくとAは六車に語りだす
「縁があればまた一緒になりますよ。そんなもんじゃないんですか?」
「A……」
「組を抜けてカタギになって元奥様に復縁を頼みます?
それとも新しい相手でも探しますか」
「ふざけんな!!」
急に立ち上がった六車は椅子が倒れた事にも気が付かない
「俺は京極組の為に命をかけるって決めてるんだ。そんな真似
する訳がないだろ!!」
「もう既に答えが出てるじゃないですか」
「あ……」
「なら明日から頑張りましょうね」
そこでわざと煽ったのだと分かった六車のトーンは一気に下る。
それを見たAは取り上げたグラスを目の前に置いた
「さっき止めてたじゃねぇか。いいのかよ?」
「もう大丈夫でしょう?本音も吐き出した事ですし。六車の兄貴は
強いし男前ですし、他の女性が放っておきません」
「……ん?」
唐突に話の流れがおかしくなった事に引っかかった六車が
Aの顔を覗き込むと……
「おま、酔っ払ってるじゃねぇか!」
「違いますよ、頭が血に上ってるんです」
「逆だ逆!大将、会計してくれ!」
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ゆず(プロフ) - 悠さん» 関係性については早く夢主に思い出してもらわないといけませんね! (2023年1月1日 9時) (レス) @page16 id: 72061703ef (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 城ヶ崎との関係が気になる! (2023年1月1日 1時) (レス) @page48 id: 1f3484379a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 芥子さん» 名前変換につきましては早急に対応します! (2022年12月26日 17時) (レス) id: 72061703ef (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - コメントありがとうございます!そろそろ第二部も考えていますので宜しければ遊びに来てください! (2022年12月26日 17時) (レス) id: 72061703ef (このIDを非表示/違反報告)
芥子 - この世界観に溶け込んで読んでみたいなぁとも思うので、よろしければ是非名前変換の方ご検討頂きたいです…!(設定ページの方閲覧いたしました)ゆずさんの都合がよければで大丈夫です!これからも応援してます! (2022年12月26日 14時) (レス) id: d4a3ef37b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2022年11月15日 9時