ヒューマンバグ大学 中編集２

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【東雲編】






「そんな怖い顔してたらせっかくの男前が台無しになるで
　兄ちゃん」

「子供扱いしてんじゃねぇよ！」



ターゲットを奪われるわ子供扱いされるわ。この日の東雲は
最高に機嫌が悪かった



「お前、京極組の人間か？」

「ちゃうわ」

「ならどこの組織の人間だ。答えるまで帰さねぇぞ」

「そんな事言わんといて。私も暇じゃないんよ」



並の女ではない事は分かる

だからこそただで帰す訳にいかない。今後、羅威刃の脅威に
なりうるならこの場で方をつける……危険な芽は早めに取り除くに
越したことはない



「……事を荒立てて不利になるのは君らの方やで」

「！」



それまでの穏やかな顔から一変。心酔する城ヶ崎とは違う
絶対零度の表情を目の当たりにした東雲は目を見開くもすぐに
武器を構える

自分も伊達に幹部を名乗っている訳では無い。そのプライドが
攻撃を試みる一歩を踏み込ませた



「少しだけなら遊んだる。おいで」

「女だからって容赦しねぇ！」



勢いよく振り下ろした一刀は空を切る。Aがバックステップで
躱した事により両者の間には僅かに距離が出来た

東雲は懐から拳銃を取り出し、銃口を向けたその時……



「接近戦で拳銃なんか使っても仕方ないやろ」



ダガーナイフが自身へ投げられた事に気が付いた東雲は
バックステップが間に合わないと判断、斧の柄を使いそれを
振り払った



「はい、お疲れさん」

「なっ！？」



一気に距離を詰めたAが目前にまで迫る。そして次に
繰り出されたのは……



＿＿コツッ



「こんな簡単なトラップに引っ掛かったらアカンよ」

「……は？」



デコピン。Aはそれ以上、何かしようとする動きを見せず、
そして東雲にある物を渡す



「そこでおねんねしてる坊や達が持ってたんやけど
　兄ちゃん持ってた方がええかも」

「！！これは……」



それはAが倒した半グレと関係のある組織が羅威刃に
反旗を翻す計画を示す書類だった。それを受け取った東雲は
その場で城ヶ崎に電話を掛ける



「はい……いえ、俺が到着した時には既に……え？承知しました。
　おい、城ヶ崎さんがアンタと話が……」



振り返った時には既にAの姿はなかった







「Aの姉さん！今何処にいるんですか！」

「玄ちゃん……電話でそんな大きい声出さんといて」

「迎えに行きますから！」

「いや、これから飛行機で帰るから心配要らんよ。じゃあ
　また後でな」

「姉さん！まっ」



＿＿ツーッ……ツーッ……






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