ヒューマンバグ大学 中編集２

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【戸狩派編】







「ん？今回はりっちゃんがアジトを調べんの？」



天王寺組のシマを荒らす半グレの調査を戸狩、渋谷、室屋の三人は
岸本に任せ(という名目で押し付け)ようとしていた

こういった作業は鉄火場に一人で向かわせてもらえない弟分が
担う事も多い。しかし各々の言い分は……



「Aの姉さんとのデートする場所探すのに忙しいんや」

「戸狩の兄貴。それ組の飲み会ですよね？」

「今度また姉さんにお好み焼き振る舞う事になっとるから
　はよ帰って腕磨かなアカンねん」

「渋谷の兄貴。今のままでも十分美味しいですから
　その必要ありませんよ」

「Aの姉さんと一緒におる時間少なくなるやろ」

「室屋の兄貴。せめて取り繕って下さい」



……こんな感じで各々適当な理由(しかし本人達は至って真面目)で
岸本に押し付けていた訳だった。そこへAが現れ冒頭に至る



「ほんなら一緒に行こか」

「「「！？」」」

「よ、喜んでお供します！Aの姉さん！」



当然三人がこの展開を黙って見ている筈がない



「俺も行きますわ」

「玄ちゃん？」

「俺もお供します！」

「大ちゃんも？あー……柊ちゃんは無理して来なくても」

「行きます」

「こんな大人数で動いても不自然や。今回は私とりっちゃんが
　やるから皆はのんびりしててな」



面倒な事を押し付けられそうになったが逆に好機となった事に
岸本は口元が堪らず緩んでしまう



「「「………」」」



恨めしそうに見つめるがそもそも自分達が押し付けようとした事が
原因である故に何も言えずにいた。それをどう捉えたのか、Aは
困ったように笑いながら告げる



「三人にはカチコミ頼んでもええ？早く仕事終わらせて
　皆でどっか食べに……」

「渋谷、室屋！はよ終わらせるで！！」

「分かりました戸狩の兄貴！室屋、お前もはよ準備せえ！」

「とっくに準備は整ってますよ。渋谷の兄貴」

「……アホか。これからアジト探る言うてるやろ？
　少し気が早すぎるとちゃうか」

「「「すみません」」」






「三國の親父……今回のカチコミそんなに危なかったんですか」

「素人に毛が生えた程度の奴らや。大した事ない」

「戸狩も渋谷も室屋も総出で粛清に向かったから……あ」

「そういう事やで。大嶽」

「(あいつ等何してんねん)」



図らずもAが焚き付けた事により戸狩派とぶつかる事になった
哀れな半グレは跡形もなくこの世から消え去ったのだった……





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