検索窓
今日:45 hit、昨日:97 hit、合計:6,170 hit

ページ11

*






「とことん周りに迷惑をかけるんだな」



怒っているような、呆れているような。どちらとも取れる
反応に思わず涙目になってしまう



「(何も言い返せない……)」

「黙ってないで何か言ったらどうだ?妹分さんよ」

「……助けてくれて、ありがとうございました。また
 迷惑かけてごめんなさい」






「まさかそれを言う為だけに追いかけて来たのか?」






小さく頷いたAに何を思ったのか。名波はあからさまに
ため息をつき、その距離を縮める



「化粧落ちるぞ」



カサついた親指が綺麗な弧を描く目元に触れた



「せっかく綺麗に粧し込んだのに台無しになるだろうが」

「ごめんなさ、」

「……面倒くせぇな」

「名波のカシラ。どうかされましたか?」

「長門。来たのか」



先程、矢部と一触即発の雰囲気になった構成員は長門と言うらしい

カシラの側にいたのが天羽組の妹分という事でその端正な顔を
あからさまに歪ませた



「カシラはお前のそんな安い演技に騙されるような人じゃない」

「いい加減にしろ」

「分かったならさっさと」

「長門。お前に言ってるんだよ」



名波の発言に驚いたのは長門だけではなくAもだった



「絆創膏持ってたか」

「ありますが……」

「寄越せ」



長門から一枚貰うと名波はそれをAに差し出す



「階段を踏み外した時に擦れたんじゃないのか。
 赤くなってるぞ」



確かに先程から右足首が痛かった。何処で見抜いたのかは
定かではないけれどその洞察力には驚きを隠せない



「……ガキってのは撤回してやる」

「え?」

「名波のカシラ?」

「後でお前の所の兄貴分に貼ってもらえ。いくぞ長門」



そう言い残すと二人はAに目もくれず会場を後にするのだった




_________________

___________





「ちゃんと言わなきゃ駄目だろう?」



先程、名波から受け取った絆創膏で手当てを受けているAは
矢部に気まずそうに謝る



「あの、また迷惑かけて」

「迷惑なんて思っちゃいねぇよ。ただ……」



言葉を遮ると矢部はほんの少しだけ、顔を近づける。サングラスの
奥に潜む真剣な眼差しはAを捉えていた

逸らす事なんか許さないとばかりに頬へ手を添えると続けて語る



「真っ先に気付いてやれなくて悔しいだけだ」

「兄貴……」

「親っさんも小峠も車で待ってる。早く行こうぜ?お姫様」

「からかわないで下さい!」



一瞬、悲しげな表情を浮かべていたのは多分気の所為。
Aはそう思う事にした





*

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
68人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆず(プロフ) - シャリファさん» ご指摘ありがとうございました😌 (3月28日 9時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
シャリファ(プロフ) - あの、非常に申し上げにくいのですがタイトルとタグがヒューマンバク大学になってます‥ (3月28日 7時) (レス) @page3 id: 8b3e245298 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» いいですね!バグ大小ネタ楽しいのでゆず様のアレンジで他の組も読んでみたいです😊 (3月9日 0時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございます!結構、天王寺組の姉貴は執筆してて楽しかったので他の組でもシリーズを作れたらなぁ…と思っています😌 (3月9日 0時) (レス) @page4 id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 100ポイントは笑撃でした🤣今回のお話も面白かったです! (3月9日 0時) (レス) @page7 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆず | 作成日時:2024年3月8日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。