ヒューマンバグ大学短編集５ (ページ17)

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愛する君の為に抗おう　兄者　切甘ページ17

*鵺一族夢主
*兄者とは兄妹ではない(従兄妹)
*Aさん←←←兄者

「痛……っ！！」

「酷い怪我だな」

鍛錬中の事だ。Aはその際、背中に大きな傷を負ってしまった

その場には先代と相談役も居合わせていたのだけれど……
「我が一族に弱者など必要ない」と言い捨て、手当てすら
施そうとしなかった

周囲のにも余計な真似をするなと釘を指した所に現頭領である
兄者が現れ今に至る、と言う事だ

「早く手当てをしなければ最悪、化膿していただろう」

「すみません……」

「謝る必要はない」

悪しき習慣ともいうべきか。女であるという事も相まって
Aは一族の中でも肩身が狭い

それでも兄者が頭領になってからは幾分マシになったものの……
疎ましく思われている事には変わりない。それについて悩んで
いるのはAは勿論の事、兄者も同じだった

「鵺一族を名乗るにはあまりにも心が綺麗すぎる」

「え？」

不意に手当てを施す手が止まる。すると背中に温かな何かが触れた

「頭領……何して……っ！？」

間髪を入れずにまたも同じ感触が走るとAは慌てて後ろを
振り向こうとする。しかし今度はそれだけではなかった

まるで包み込むように後ろから抱きしめられ、様子を伺おうにも
その力はとても強くて身動きが取れない

「………」

「あの、頭領」

同じ鵺一族とは言え立場があまりにも違う。足手まといと
言われるAを構っている姿を見られたら他の鵺一族に何と
言われるのか

「た……」

苦しそうに呟かれる言葉。その続きをただAは耳を澄まして待つ。
傷ついた体を抱きしめる腕に一層、力が入ったその瞬間

「鵺一族になんか生まれなければ良かったんだ。俺も、Aも」

*