ヒューマンバグ大学 短編集４

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*来栖side






可愛くて可愛くてどうしようもない、お人好しのAの姉貴。
全て貴方が悪いんですよ

どこまでも優しくするから俺は貴方に温もりを求めてしまった



「……一回って言ったよね」

「そうでしたっけ」



そう。俺はまんまと約束を破った



「一度でも重ねたなら一緒ですよ」



本気で拒絶されたなら諦めるつもりだった



「来栖君……」

「三成って呼んで下さい」



愛されたい。その中途半端な優しさにもっと触れたい。貴方の
その温もりを感じている間だけは何も考えずに済むんです




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「付き合ってますよね。俺達」



ある日。俺はこの曖昧な関係を終わらせようと思った



「まさかこれだけの関係なんていいませんよね」



ベッドの上でこんな事を言っても失笑されるだけかもしれないのに
俺は何をしているのだろうか？



「………」

「Aさんはそんな軽い人じゃない。俺はそう思ってますよ」



間違ってもAさんをそんな浮ついた人間にしない為にも
名前をつける必要がある

我ながら卑怯だとは思うけれどこれはAさんの為。
こうすれば万が一、バレたとしても俺に無理やり迫られたと
言い訳が出来るでしょう？



「……に」

「？どうしました」

「三成君が……黒澤派じゃなかったら良かったのに」



……少しでも俺に気持ちがあるみたいで安心しました。でも
それは譲れませんよ

お金があれば何も失わなくて済む。母親が逃げていったあの日に
痛い程痛感したんですから



「今はそんな事考えるのは止めましょうよ」



どれだけ重ねても足りない。もっともっと欲しくなる

俺と一緒にいるのにそんな事でよそ見するなんて許しませんよ。
……あぁまた触れたくなってきました



「そんな顔しないで」

「………っ」



その泣き顔に罪悪感が芽生える。でもそうされると俺の気持ちも
この関係も何かもを否定された気分になって気分が悪い

まぁそんな顔をさせているのは他の誰でもない俺自身だけど



「本当に可愛い人だ。貴方は」

「三成君……ごめん」

「俺はそんな台詞が聞きたい訳じゃありませんよ」



せめて二人でいる時は組の事を忘れて俺に溺れて下さい

今は何も考えなくていいんですよ。だってここにいるのは
ただの男と女……そうでしょう？Aさん



「愛してますよ。Aさん」



きっとAさんの方が現実を見ている。俺はただその優しさに
漬け込んで困らせる事しか出来ないただのガキなんだ




*

京極組　守若　リク→←獅子王組　来栖　※　リク

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