天王寺組 渋谷 リク ページ36
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「腹減ったなら俺が作りますから何もせんでええですよ」
ただ料理をしようとしただけでそう言われる始末。
その気遣いがAにとっては余計な事だった
「大智の馬鹿!」
__カコンッ!
「いった!?急にヘラなんか投げんで下さい!」
戸狩派No.2が投げつけられたヘラを避ける事が出来なかった
なんて知られたらどうなるだろうか?
「お好み焼きなんて駄目です!せめて焼きそばから
挑戦してください!」
「う、うるさい!」
「それで前にホットプレート駄目にしたでしょう!?」
「……嫌い!大智なんか大嫌いなんだから!」
その勢いのままAは家を飛び出した。すぐにでも追いかけ
たかったが電源のついたまま……しかも生地が既にこびり付いた
ホットプレートをそのままにはしておけない
「また買わなあかんな……」
その不器用さに愛想が尽きた事なんか一瞬たりともない。
別に自分がやればいいと思っているからだ
……その気遣いが彼氏を喜ばせたいと常々思っているAを
傷つけていたとは考えもしなかったけれど
「(……俺も過去の失敗持ち出さんでもよかったな)」
今、優先すべきは焦げ付いたホットプレートではなくA
その失言が余計に傷を抉った事を認めた渋谷は電源を落とすと
Aを探しに外へ出るのだった
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「機嫌直して下さい。Aさん」
「……」
どうにかして家に連れ戻せたけれど一向に口を聞いてくれない。
好物のスイーツもこの時ばかりは効果が無かった
「俺、Aさんが自分の為にってだけで十分です」
「……」
「別にいいじゃないですか?彼氏が料理担当でも。俺も
出来ん事はAさんに頼んだりしてるんですから」
「大智……」
首にスルリと腕を回し、Aは渋谷に抱きつく
「嫌いって言ったの嘘。大好き」
「そんなん言わんでも分かってますよ」
もはや存在そのものが可愛くて。例え何も出来なかった
としても文句なんかある筈がない
「俺も大好きです」
お互いを感じれるだけで十分満たされるのだ
「ホットプレート買い直さな……」
「それならさっきネットで注文したよ。お届けは明後日だって」
「仕事が早いですね(頻繁に壊してるから手慣れてるなぁ)」
「大智。今、余計な事考えてるでしょ」
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ゆず(プロフ) - 楓さん» お待たせしました! (1月8日 0時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - リクエストありがとうございました🙇♀️ (1月8日 0時) (レス) id: fa3afa321a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - バイさん» いえいえ!本当なら年内に公開したかったのですが……遅れて申し訳ありません! (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - みはるさん» そんなもったいないお言葉を!ありがとうございます☺️ (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
バイ(プロフ) - リクエストありがとうございます!!やはりゆず様のお話どれも最高です…! (1月4日 12時) (レス) id: 1753987474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年8月7日 17時