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天羽組 小林 ※ リク ページ30

*たった一夜の、過ちだったのに







「何言ってるんだ?」


求め、求められ。確かにあの夜に自分達は気持ちを
確かめ合った……小林はそう思っていた、なのに

けれど、まだ日が登り切る前の肌寒さはAが冷静さを
取り戻すには十分過ぎたのだ


「だから無かった事にっ!?」


尊敬する兄貴分。人としても男としても信用ができる

それは他の舎弟も同じく思っている筈。何も自分だけが特別な
訳では無い。だからこの行為もきっと拒みきれなかっただけ……
そうであって欲しかった


「マジで言ってんのか?お前」

「きゃ……っ」


乱暴にベッドへ沈められ、今まで向けられた事がない冷たい視線を
向けられたAは恐怖のあまりに体が動かなくなる


「ふざけんな。今更、無かった事にされてたまるかよ」

「こ、小林の兄貴……」


小林にとって自分はただの妹分。今後、気まずくならないようにと
気遣ったけれど今の小林には逆効果でしかなかった


「俺はずっと前からお前の事が好きだった」


その可愛い顔立ちに似合わず自分達に必死についていこうと
努力を重ねる姿に惚れない筈がない

だから周囲から咎められようともアプローチを止めなかったし
やっとの思いで自宅に連れ込んで……


「好きで好きで仕方なくて……なのに何で……」


肩を掴む手に力が入る。尋常じゃない強さに涙目で止めてと
訴えるも小林は全く聞く耳を持たない


「小林の兄貴……」

「もう手段なんか選んでられねぇ……俺以外の男の所になんか
 行けないようにしてやる」


首筋に触れる唇は昨夜の行為を連想させる。しかしその時の
心地良さなどは微塵にも感じられず、ただひたすらAに恐怖を
植え付けていた


「だ、駄目……小林の兄貴……っ」

「知らねぇよ」

「止めて……下さい」

「もう黙っとけ」


言葉さえ紡ぐ事を許されず、重ねられた唇がやけに熱い
という事しか考えられなくなったAは何を思ったのか
恐る恐る小林の背中に腕を回した

その様子に少し溜飲が下がった小林が満足げな笑みを微かに
浮かべ空いた手でAの頭を撫でる


「それでいい。そうやって可愛くしていれば少しは
 優しくしてやる」


無かった事に……その一言が無ければ甘美な思い出のままで
いられたのか

それは既に小林に溺れつつあるAに分かる筈もない事だ




*

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設定タグ:ヒューマンバグ大学 , バグ大 , 天羽組   
作品ジャンル:恋愛
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ゆず(プロフ) - 楓さん» お待たせしました! (1月8日 0時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエストありがとうございました🙇‍♀️ (1月8日 0時) (レス) id: fa3afa321a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - バイさん» いえいえ!本当なら年内に公開したかったのですが……遅れて申し訳ありません! (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - みはるさん» そんなもったいないお言葉を!ありがとうございます☺️ (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
バイ(プロフ) - リクエストありがとうございます!!やはりゆず様のお話どれも最高です…! (1月4日 12時) (レス) id: 1753987474 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2023年8月7日 17時

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