獅子王組 井上 ※ ページ3
*黒澤派妹分夢主
*抗争中
「A……」
妹分だからとその好意を無視し続けた代償がこれ程大きいとは
月麦自身、想像出来なかった
組を離れていた間、一瞬たりともAを忘れる事はなかったし
寧ろ自分の中でその存在はどんどん大きくなるばかりで……
「好きだ」
かつて何度も何度もAが自分に向けた言葉を今度は月麦が
Aに囁いている
「何で黒澤派に行っちまったんだ」
「兄貴には、関係ないです」
「あるに決まってるだろ」
帰国した時、龍本と伊武にAはどうしているのかと真っ先に
尋ねた。すると2人は気まずそうに……
__黒澤派に行っちまった
__ウチに来てほしかったんだけどねぇ
「俺がお前の気持ちに答えなかったからか?」
「それは……」
「当て付けならもう十分だろ。A……戻って来い」
愛しむように、縋るように。先程までとは違って優しく
唇を重ねても……
「嫌、離して下さいっ!」
返ってくるのは最も聞きたくない拒絶ばかり
「お前……誰に絆された?来栖か?あれだけ月麦の兄貴って
言ってた癖によりによってアイツかよ」
Aが黒澤派に入る事が出来たのはトップの黒澤の方針である
シノギが申し分ないからだった
勿論、何か思惑があって入ったと気付かれてはいたものの
一番重要なそれに問題がないのならと特に追求される事も
無かったが……
__井上の兄貴と顔合わせるのが辛いんでしょ?
来栖だけは直球に、しかも確実に突いてきた。幸いだったのは
それを黒澤に伝える事なく秘密にしてくれた事だ
「ふざけんな……今更、他の奴なんかに取られてたまるか」
「来栖の兄貴はそんな人じゃないです」
「……は?」
今、Aは明らかに来栖を庇った。絆されたのではなく
本心を知った上で隠してくれた事に対する恩義……なのだが
月麦にはそれがこの上ない程に不愉快でしかない
「月麦の兄貴は何も分かってない……」
「分かってないのはお前だ」
かつて一度も向けられた事無い冷たい眼差しを向けると
月麦は怒りを滲ませながら淡々と語る
「男が何もなしに優しくする訳無いだろ」
今なら分かる。来栖がAに向けている感情は今、自分が
抱いているのと同じなのだと
「俺は好きな女が取られそうになっているのを黙って見てる程
大人しくねぇぞ」
「月麦の兄貴……」
「……お前が悪いんだからな」
それが全くの八つ当たりである事くらい、分かっている
*
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ゆず(プロフ) - 楓さん» お待たせしました! (1月8日 0時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - リクエストありがとうございました🙇♀️ (1月8日 0時) (レス) id: fa3afa321a (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - バイさん» いえいえ!本当なら年内に公開したかったのですが……遅れて申し訳ありません! (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - みはるさん» そんなもったいないお言葉を!ありがとうございます☺️ (1月4日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
バイ(プロフ) - リクエストありがとうございます!!やはりゆず様のお話どれも最高です…! (1月4日 12時) (レス) id: 1753987474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年8月7日 17時