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「A?まだいたんか」
本部に戻るとAはたった一人で仕事をこなしていた
「……これAの仕事やないやろ」
何気なしに手に取った資料、それは新人のAが請け負うべきで
ない処理が極めて難しいものだった
加えて山のように積み重なった書類。自分が新入りのときでさえ
こんな量はやらされなかった
「俺もやるわ」
これは明らかに新人イジメだ。しかもかなり悪質な
積まれた書類に手を伸ばそうとすればAは慌てて手を
掴んだ
「一人でやります。大丈夫です」
「アホか。こんなん朝になっても終わらんわ!変な意地張らんで
さっさと寄越せや」
それでも書類を渡そうとしないAに戸狩は畳み掛ける
「はよ終わらせてAと飯でも甘いもんでも食いに行きたいねん」
「それ、断った……他の人、誘えば良いですよ」
「Aがええんやって」
その一言に面食らった表情を浮かべたAは恐る恐る
書類を渡した
「ごめんなさい、戸狩の兄貴……」
「おう。まかしとき」
これが初めてAが兄貴分を頼った瞬間である
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あれから何年も経った今……その関係性は変化していた
「……き。戸狩の兄貴」
「ん……A?すまん寝てたわ」
余程疲れが溜まっていたのか。玄弥は仕事中にも関わらず
寝ていたようだ
「……珍しいですね」
「何で起こしてくれんかったん?はよ仕事終わらせんとあかんのに」
しかしデスクを見ると見事に仕上がった書類が積んである。
どうやら自分が寝ている間に全て終わらせたようだ
「凄いな。全部終わらせたんか」
「いつまでも頼りっぱなしではありませんよ。あの時と
違うんですから。それに……」
どうやら自分が思っている以上にAは成長していた
「こんなに疲れているのに起こせる訳ないでしょ」
「!!」
効果音が付きそうな勢いで抱きつき、その勢いのまま
ソファーに倒れ込んでしまった
「ちょ、重いっ!」
「本当に優しいなぁ」
「離れてってば!」
「痛っ!?平手打ちはアカンやろ!?」
「離れて!触らないで!」
「そんな拒絶せんでもええやん!?」
「城戸の兄貴。俺らいつ入れるんですか」
「今日は無理とちゃう?」
「……ほんまに不思議な夫婦ですね」
「せやなぁ」
翌日。二人から若干の哀れみを含んだ目でAは
見られる事となる
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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 夢主自身もだいぶ揺らいでますからね……果たしてどうなるのでしょう😳 (12月22日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» Q&Aありがとうございます!お話に緊迫感が出てきてますます目が離せない展開になってきてますね😳 (12月22日 11時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございます!暫くは夢主QAの回答を含むお話が多くなると思います! (12月12日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 更新の大丸さん、国生さん、そして戸狩さん…!イケおじ尽くしで癒やされます…! (12月12日 10時) (レス) @page18 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
こてつ(プロフ) - ゆずさん» 仲間がいて嬉しいです~!いえいえ‼︎逆に宣伝してくださってほんとにありがとうこざいます😭ほんとに楽しみです‼︎ (10月29日 23時) (レス) id: e77a4a71a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年7月20日 17時