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*Aside
妹分がスパイだの何だの言われるのが見ていられなかったから?
それともかつて直属だった頃の名残で逆らえなかったから?
「どうして……」
組に来た時から貴方は優しかった。新しい環境に馴染めない
私にどんな時でも寄り添ってくれる
だからこそ私は貴方だけは信じていた
「何であんな話を受け入れたんですか!?」
三國の親父様の立場を考えればその結論に至ったのは分かる。
けれどそれを受け入れるかと言われたら話は別
戸狩の兄貴も私と同じ考えを……そう思っていた。きっと
いくら命令でもそれは出来ませんって断ると思っていたのに
__断る訳にもいかんやろ
……結局、命令されたからですか。親の言う事であれば
その気のない女とも結婚しちゃうんですね
「……嫌い。戸狩の兄貴なんか嫌い!!」
どれだけ罵倒しても戸狩の兄貴はひたすら頭を下げるばかり
「俺の妻になってくれ。頼む」
「………」
私の事なんか愛してないくせに……どうして
「……信じてたのに」
「え?」
「戸狩の兄貴だけは……違うって思ってた、のに」
「A……」
「気安く私の名前を呼ばないで下さい!」
その口から紡がれる全てが信じられない
「もういい……三國の親父様には恩があります。だから結婚します」
「………」
「だけど戸狩の兄貴……貴方の事は何があっても愛したりしません」
その時の悲しそうな顔は今でも忘れられない
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「先に帰ってって言ったでしょう」
「心配なんやって」
……結局、私達は一緒に帰っている
「A」
「……黎と呼んで下さいって前にも言ったでしょう」
貴方に呼ばれる度に信じたくなる。お願いですから私の名前を
口にしないで下さい
「……A」
「っ、だから!」
金切り声を上げた瞬間だった。戸狩の兄貴は私を引っ張り、
そのまま腕の中に閉じ込める
__カンッ
「……え」
「A。大丈夫か」
本当にギリギリだった。体を引かれてなかったらこの弾丸は
間違いなく私を貫いている
「そこの角まで走るからな」
「え、ちょっ!?」
私を抱えて兄貴は物凄い勢いで走り始めた
「俺が良いって言うまでこっから出たらアカンからな」
物陰に私を隠すと兄貴は懐にしまったチャカを握る
「すぐ終わらせるからな」
「……い」
「ん?」
「必ず、帰ってきて下さい」
「当たり前やろ」
それは紛れもない私の本音だ
*
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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 夢主自身もだいぶ揺らいでますからね……果たしてどうなるのでしょう😳 (12月22日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» Q&Aありがとうございます!お話に緊迫感が出てきてますます目が離せない展開になってきてますね😳 (12月22日 11時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございます!暫くは夢主QAの回答を含むお話が多くなると思います! (12月12日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 更新の大丸さん、国生さん、そして戸狩さん…!イケおじ尽くしで癒やされます…! (12月12日 10時) (レス) @page18 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
こてつ(プロフ) - ゆずさん» 仲間がいて嬉しいです~!いえいえ‼︎逆に宣伝してくださってほんとにありがとうこざいます😭ほんとに楽しみです‼︎ (10月29日 23時) (レス) id: e77a4a71a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年7月20日 17時