7 怒りと嫉妬 ページ14
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ここ最近、何だかんだでAに触れる機会があったせいで
玄弥はすっかり忘れていた
「用もないのに近づかないでもらえますか?戸狩の兄貴」
これが通常運転なのだという事を……
「A……はよ帰ってきてくれんか」
数日前。Aは潜入捜査の為に本部から少しの間離れる事になった
その前日に玄弥がふと、抱きしめようとした際に冒頭のセリフを
嫌悪感丸出しの表情で放たれたのだ
「にしてもホンマに大丈夫なんやろか……」
「渋谷。何でそんな不吉な事言うねん」
「いや、だって今回のターゲットはかなりの病的らしいんですわ」
「病的?」
「女好きっちゅう意味です」
「………」
「戸狩の兄貴?」
「俺、そんなん聞いとらん」
ここで渋谷と室屋は顔を見合わせる
「どういう事や?戸狩の兄貴は知ってて送り出したんと
ちゃうのか」
「渋谷の兄貴。もしかして何も言わんで任務に行ったんと
違います?」
「……つまりハニトラって事か!?」
玄弥は大声を上げる。その剣幕は二人すらも驚く程だ
「俺に何も言わんでそんな任務引き受けるとは……
随分ええ根性しとるわぁA」
怒りすぎてもはや顔が引き攣っている。その表情だけでも
外道を屠れそうだった
「帰ってきたらちゃんと仕置きせんとな」
成功しても地獄、失敗しても地獄。渋谷も室屋もAを
密かに憐れんだという
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「Aちゃんって柴犬飼ってるんでしょ?」
「柴犬……?いえ、飼ってませんけど」
酒を進められた男は徐々にその口を緩める。しかし話の
流れを遮って突如全く脈略のない話を始めた
「えぇ?飼ってるって噂で聞いたんだけど」
「動物なんて飼ってないですよ」
「ふーん……そっかぁ。そうなんだぁ……」
「(一体何なの?)」
「今日はこれくらいでお開きにしよっか。俺、明日も
早いからねぇ……バイバイ」
潜入捜査で分かったのはこの男が愚連隊と手を組んで天王寺組の
シマ内で女性をターゲットに悪行を働いているという事
この世界ではありふれた話だった。他にも気になる点はあったが
どういう訳か妙な違和感を拭いきれずにいる
「(……こんなお喋り男に大役を任せる筈がない)」
Aはこの男を隠れ蓑だと読んだ
「柴犬に宜しくねぇ」
「飼ってませんってば」
この時。深入りしようとしなかった事が賢明な判断であったと
すぐに分かる事になる
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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 夢主自身もだいぶ揺らいでますからね……果たしてどうなるのでしょう😳 (12月22日 17時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» Q&Aありがとうございます!お話に緊迫感が出てきてますます目が離せない展開になってきてますね😳 (12月22日 11時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございます!暫くは夢主QAの回答を含むお話が多くなると思います! (12月12日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 更新の大丸さん、国生さん、そして戸狩さん…!イケおじ尽くしで癒やされます…! (12月12日 10時) (レス) @page18 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
こてつ(プロフ) - ゆずさん» 仲間がいて嬉しいです~!いえいえ‼︎逆に宣伝してくださってほんとにありがとうこざいます😭ほんとに楽しみです‼︎ (10月29日 23時) (レス) id: e77a4a71a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2023年7月20日 17時