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深愛 天羽組 阿久津 ※ リク ページ8

*妹分夢主








「敏郎さん、あの……」

「すまん。また今度にしてくれ」



兄貴分達にも協力してもらってようやく恋人同士なった
後の方が大変だった

ただでさえ多忙なのだからと阿久津から合鍵をもらっていて
何度か泊まった事もあるのに二人の関係は何も進んでいない



「ご、ごめんなさい」

「……悪い」



Aは意を決して阿久津に触れようと顔を近づけたが
あっけなく距離を置かれてしまった

この日、そのまま泊まっていったけれど結局何もなく
寝る所さえ別々で一夜を明かした……





____________

_________






「小峠の兄貴。資料出来ました」

「いつもながら早いな」



昨夜、そんな悲しい事があったとはいえ事務所に来れば
仕事モードに切り替えないといけない

溜まりがちな書類の整理などに打ち込む事でそれを忘れようとする
……皮肉ではあるけれど、そうすればする程仕事がみるみる減るのだ



「……痛っ」

「は?おい、どうした」

「ゆ、指……切りました……えへへ」



書類の整理が終われば次は事務所に届いた封書の確認。やはり
どこかボンヤリしていたのか、ハサミで指先を切ってしまった



「……大丈夫か?A」



同じ作業をしていた阿久津がパソコンのキーボードを叩く手を
止めて声を掛けた



「大丈夫ですよ。カシラ」

「ちょっと見せろ」



阿久津は切ったであろうその指先に手を伸ばす……が



「そんな心配する程じゃないですから。気にしないで下さい」



Aはその手を引っ込めた



「小峠の兄貴、確か絆創膏持ってましたよね。一枚
 もらってもいいですか?」

「あ、あぁ……分かった」



至って普通の会話。だけど二人の関係性を知っている側から
すればそれが少し違和感のあるものだとすぐに気がつく

小峠は横目で阿久津の表情を確認した



「………」

「カシラ。いかがされました?」

「……いや、何でもない。小峠」



唖然としながらもその目はAに向けられている

小峠から受け取った絆創膏を手早く受け取るとそれを指につけ、
Aは再び作業に戻った



「これは親父様宛の……すみません。少し席外しますね」



桂司宛の封書が一通、混ざっていた。慌てて部屋を出るAの
後ろ姿を阿久津は黙って見つめる



「A……」



その呟きはすぐ隣りにいた小峠には確かに聞こえた。声が
震えていたように聞こえたのはきっと気の所為ではない





*

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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 可能性大です!天王寺組に限らず他の組やヴィラン組シリーズも書きたいです!可哀想な陣内さん🤣 (1月25日 16時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» では惜しくも出番のなかった渋谷さんたちも、第二弾では登場の可能性あり…?!なのですね😳中でも今回はラストで一蹴された陣内さんのオチが好きでした! (1月25日 10時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございました!第二弾でもこんな感じの作品を公開して評判があれば長編へ昇格……と考えています☺️ (1月25日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 天王寺組姉さんの日常編、読んでいて楽しかったです!✨ (1月25日 10時) (レス) @page49 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» わお😳朗報です✨ (9月21日 0時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2023年6月3日 22時

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