ヒューマンバグ大学 中編集

・ ページ49

*【二人きりの食事編】
*岸本side






普段は兄貴達がAの姉さんを独占するから俺にお鉢なんて
回って来んのやけど……


「りっちゃん。はよ終わらせてご飯行こか？何がええかな」

「姉さんと一緒なら何でもいいです！」


今日は！ホンマに！奇跡的に他の兄貴達が多忙でその役目が
俺に回ってきたんや！


「アホ。何でもええなんて奢り甲斐ない事言うのは止めや」

「えぇ……ならラーメンがいいです」

「分かったで」






＿＿速報です。相次いで起きた強盗事件に関与したグループが……


「りっちゃん、良かったなぁ。これでまた平和になったわ」

「(そのグループを壊滅させたの姉さんですよ)」


他人事のように語る様子はまるで平和を愛する一般市民。
しかしそのグループを壊滅させたのは他でもないAの姉さん

実の所、自身の力を誇示する為に周囲へ威張り散らす組員が
いるのは事実や。しかしAの姉さんはその手柄の殆どを
舎弟に回すなど自身の組内における評判はどうでもいいらしい


「あの。姉さんってどうしてそんなに強いんですか？」

「これしかやって来んかったからや」

「学生の時とかやっぱり番長とかやってたんですか」

「いや表現古いで。あぁ……でも」


チャーシューを頬張ってた口は突如、一文字に結ばれる


「なるべくしてこうなったんやろうな」


なるべくして……？


「ほら、はよ食べんと冷めるで」


結局、Aの姉さんに対する謎は深まるばっかりやった





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿





「お前……Aの姉さんと二人きりで食事にいったみたいやん」


組に戻った俺はさっそく戸狩の兄貴から命を狙われてしまった


「俺、そん時近くにおったんやけど……連絡寄こしたら
　一緒に食えたのになぁ？」


いや、普段べったりなんですからこういう時くらい俺に姉さんを
譲ってくださいよ！


「ほんなら今度玄ちゃんのオススメの店行こか」

「Aの姉さん！？ホンマですか！？よっしゃ！
　任しといてください！岸本、今日はこれで勘弁したる！」


ふらりと現れた姉さんのお陰で俺は命拾いをした


「仲間がいるって悪くないなぁ……あ、りっちゃん！」

「何ですか？」

「さっきの店で使える餃子無料チケットあげるわ」

「姉さんは使わんのですか」

「若いのは食べてなんぼやで」


身も心も満たされた一日やったなぁ




*

ご挨拶→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す