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その心地良い声が聞こえなくなり、秋月家の屋敷は再び
静寂に包まれるようになった


「まさかAがモーリーの仲間だったとはな……」


こんな屈辱を味わったのはいつ以来の事か


「申し訳ありません。この紫電、一生の不覚でございます」

「詫びなど無駄な事をするのは止めろ。惨めになる」


そう。心を許してしまったのは他でもない秋月自身なのだから


「紫電。Aは私との契約を一方的に反故にした」

「はい」

「契約不履行に対するペナルティが必要だとは思わないか?」


淡々と告げる秋月に紫電はすぐさまその意図を読み取った


「必ず連れ戻して参ります」

「………必ずだぞ」




________________

____________





「A……」



__美味しいですよね?



この自分に無理やり菓子を突っ込むという暴挙に出たAの
名前を呼ぶその声は何とも悲しげだった

最初こそ主人である秋月の寵愛を受けるべく媚を売る女と思って
いたけれど何も見返りを求めず懸命に働くその姿に関心を覚え、
正式に雇うと聞いた時は少し心を弾ませたのを今でも忘れない

いや、忘れないのではなく忘れられないのだ


「………」


我欲を捨て、主人に尽くす。その生き方に疑問を持った事など
無かった筈なのに


「鵺一族の者よ。貴様もこんな気持ちだったのか?」


同じ忍である鵺一族もまるで感情など持ち合わせておらず、
主人に尽くす事のみが存在意義なのだと噂に聞いていた

……憎い、憎い。要らぬ感情を思い出させたAも自分と同じ
忍の癖に自らの意志で動く鵺も、何もかもが憎い


「秋月様はAを連れ戻す事を望まれている……ならば
 それが我の望み」


いつまでの鼻に付く甘い残り香に浸っている暇などあるものか。
紫電は主人である秋月の望みを叶えるべく、その場を後にした




*

天王寺組の喧嘩師な姉さん→←・



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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 可能性大です!天王寺組に限らず他の組やヴィラン組シリーズも書きたいです!可哀想な陣内さん🤣 (1月25日 16時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» では惜しくも出番のなかった渋谷さんたちも、第二弾では登場の可能性あり…?!なのですね😳中でも今回はラストで一蹴された陣内さんのオチが好きでした! (1月25日 10時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございました!第二弾でもこんな感じの作品を公開して評判があれば長編へ昇格……と考えています☺️ (1月25日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 天王寺組姉さんの日常編、読んでいて楽しかったです!✨ (1月25日 10時) (レス) @page49 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» わお😳朗報です✨ (9月21日 0時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2023年6月3日 22時

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