ヒューマンバグ大学 中編集

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*国生side





　
ここ暫く仕事が忙しすぎて自宅にも戻れず、喫茶店に
行く事すら出来ない日が続いていた

まさかその間にAさんが大変な目に遭っているとは……


　

「どうして相談してくれなかったんだ」

「それは」

「連絡先も交換している。メッセージを送る事も
　出来たんじゃないのか」


俺は事の詳細をオーナーから聞いてAさんの仕事が
終わる時間に再度、店に赴き迎えに行った

既に何度か家に遊びに来た事があるAさんに俺が
泊まっていくか？と尋ねると……



＿＿い、いいんですか……？



余程不安だったんだろう。何も疑う事も警戒する事もなく
その二つ返事だった


「そんな事で連絡したら迷惑だと思って……」

「Aさんなら構わない」


紛れもない本音だ。可愛い笑顔を浮かべるAさんを
不安にさせる奴は俺が許さない

……だがその気持ちをまだ打ち明けたりはしない。俺はあくまで
Aさんにとっては親切で優しいお隣の国生さんなのだから


「……俺が何とかしてやる」

「え？」

「今日は疲れただろ？先に休んでくれ。俺は片付けないと
　いけない事がある」

「でも国生さんをおいて先にそんな……」


本当に優しい子だ。家主を差し置いて休めないと言うんだろう？


「Aさんは何も気にしなくて良いんだ」


そう。君は何も知らなくて良い……知る必要もない



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿






「あ、あの子が悪いんだ！僕の好意を無視するから
　こんな事をする羽目になった！」


身元を割り出すのは本職の俺には簡単な事。そしてAさんの
名前を出せばコイツは簡単について来やがった


「一方的にしか見えなかったが」

「僕達の邪魔をするな！」


もはや人の話なんか聞くつもりがないのか。さてどうしようか……
俺がそう考えているとコイツは懐から何かを取り出す


「そうか……お前がAちゃんを誑かしたんだな？
　可哀想に……僕が守ってあげるからね……あはは、あはは！」

「……全く」


せっかく穏便に済ませそうとしたのにな。カタギだろうが
光り物を抜いたのなら容赦する必要はない



「大人を甘く見るなよ。ボウヤ」



俺は獲物を取り出さない。それくらいのハンデをくれてやるのが
大人ってものだろう？




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