ヒューマンバグ大学 中編集

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「……お隣さんだったとはな」


偶然とは恐ろしいものでAが降車しようとした
場所で共に降りた

お互いにまさかと思いつつもエレベーターに乗り込み、
とある箇所で足を止めた時……


「こ、国生さん……ですか？」

「君が最近越してきた子だったのか」


引っ越しした当初、お隣の部屋に住んでいる「国生さん」に
挨拶をしにいったがその時はたまたま留守にしていた

それ以降も顔を合わせる機会がなく、今に至った訳で……


「あ、あの」

「ん？」

「その、お礼に料理作ります。だから今度……私の家に
　来てください」

「それは嬉しい誘いだが一人暮らしの女性の家に入る訳に
　いかない」


かなり勇気を出した誘いだが呆気なく撃沈。落ち込んでいると
国生は笑いながら言葉を続ける


「だが俺の家に来るのは歓迎するぞ」

「え？」




「これから宜しく。Aさん」




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まさか密かに気になっていた客が隣の部屋に住んでいたとは
思いがけない幸運だ

いつになるか分からないけれど料理を振る舞う約束で家に
訪れる約束までしたAは先程から枕に顔を埋め、ひたすら
ベッドの上で悶えている


「(どうしよう、どうしよう、どうしよう……！！)」


漫画やドラマでしか見た事がないシチュエーションがまさか
自分の身に起こるとは思いもしなかった

上京してまだ間もないAには知り合いも少ない。これからの
生活に不安を抱えていたにも関わらず、既にその気持ちなど
消え去っていた


「(そういえばさっき……)」




＿＿また明日飲みに行く。




「うっ、うあぁぁ……！」


するとそのタイミングでスマホにメッセージが届く


「……え？」





あの男は誰だ?僕というのがいながら……裏切り者






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