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「ほぉ……お前の一方通行じゃなくて良かったなぁ」



今度は大嶽までも雑談に加わっている。お供は黒蜜なしの
わらび餅と栗どら焼きだ



「はぁ……せっかくの甘味も霞むレベルで甘ったるい話を
 聞いてしまったな」

「大嶽のカシラ。どうです?うちのA可愛いでしょう」

「渋谷の兄貴。大嶽のカシラが呆れてるの気付きません?」

「室屋。今の渋谷にそんなん言っても気付かん」



すると今まで黙っていた戸狩がやっと口を開く



「……俺やったら許せんけどなぁ。ま、度量の広い彼女で
 命拾いしたな。渋谷」

「そうですね。ホンマに……Aと別れる事になったら……」



そのしんみりとした渋谷の空気感に大嶽、戸狩、室屋は
軽口を止める



「ありとあらゆる手を使って孤独にさせて気がつけば
 俺しかおらんくて泣いて縋るAを一生大事にしますわ」

「「「………」」」

「……何ですか?その反応」



さっきまでの悲しげな姿は何処へやら。今度は悪どい笑みを
浮かべる渋谷に3人はゲッソリとする



「戸狩……お前、渋谷に何か悪い事でも教えたんか?
 こんな絵に書いたような病んでる奴初めて見たわ」

「大嶽のカシラちゃいます。室屋が悪いんです」

「戸狩の兄貴、変な言いがかりは止めてください」



すると一番にこの場を離れようとしたのは大嶽だった



「渋谷。そのAって女に執着すんのは勝手やけど
 ……大事な仕事控えとるの忘れるんやないぞ」

「………」

「どうなっても後悔せんようによく考えて行動せんとな」



まるで氷のような冷たい眼差しに正気に戻った渋谷は
スゥッと表情が固くなる



「分かってますよ」

「ほんならええ。身内に足引っ張られるのだけは勘弁やから」



大嶽がいなくなったのを確認してから戸狩はこっそりと
話しかける



「あぁは言っても心配してるだけやろうから……」

「大丈夫ですよ。ちゃんとやりますから」

「渋谷の兄貴。戸狩の兄貴が言いたいのはそういう事ちゃいま……」

「室屋。ええわ」



渋谷はおもむろに立ち上がり、部屋を後にしようとした



「……ちょっと早いけど見回り行ってきますわ。頭を
 冷さんと駄目みたいですから」



一体、何を考えているのか。その後姿からは想像出来ないけれど
きっと、既に天王寺組員の顔をしているであろう事は分かる






「室屋……俺らも動くか」

「そうですね」



望む物を全て手に入れられる程、渡世というのは甘くないのだ





*

不退転 天王寺組 大嶽 ※→←・



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ゆず(プロフ) - ぷるんさん» 可能性大です!天王寺組に限らず他の組やヴィラン組シリーズも書きたいです!可哀想な陣内さん🤣 (1月25日 16時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» では惜しくも出番のなかった渋谷さんたちも、第二弾では登場の可能性あり…?!なのですね😳中でも今回はラストで一蹴された陣内さんのオチが好きでした! (1月25日 10時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ぷるんさん» ありがとうございました!第二弾でもこんな感じの作品を公開して評判があれば長編へ昇格……と考えています☺️ (1月25日 10時) (レス) id: 69150dbb82 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - 天王寺組姉さんの日常編、読んでいて楽しかったです!✨ (1月25日 10時) (レス) @page49 id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)
ぷるん(プロフ) - ゆずさん» わお😳朗報です✨ (9月21日 0時) (レス) id: 0de05b8548 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2023年6月3日 22時

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