ヒューマンバグ大学 中編集

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「初めてデートした日だったから機嫌良かった！？」

「………」



何か必死に伝えようとしてたのは分かっていたけれど
どうせ碌な事じゃないと渋谷は無理矢理黙らせていた

しかし。熱が引いて不意にそれがなんだったのか気になり
Aに聞いてみたら……



「……嫌い。アホ。あっち行って」



今日はAと渋谷が初デートをした日だった

だけど渋谷は覚えてるかどうか分からないし、わざわざ
言うのもどうかと思ったAは自分の中に留める事に

……浮足立ったその様子にまさか浮気を疑われるとは
想像もしていなかったけれど



「ごめんって、A」

「………嫌い、嫌いです」



どれ程キツく当たったのか。想像に難くない

手首にはタオルで固く結ばれた痕が残っている。さらには
お気に入りのパジャマもボロボロ。惨めだった



「……ホンマに悪かった」

「大智はどうでも良かったんですね」



好き過ぎる余り盲目になった事は確かに反省しないといけない。
だけどそれだって、そもそもAの事がどうでもよかったら
そんな勘違いも起きなかった



「私ばっかり好きみたい」

「！！」



そんな訳ない。そう言わんばかりにAをキツく抱きしめ……



「んな訳あるか！俺の方が好きや！」

「何ですか急に……」

「取られたくなくて必死なんやぞ！？」

「……でも初デートした日、忘れてましたよね」

「うっ！？」



Aはさらに畳み掛ける



「挙げ句、人の事を浮気女扱いした」

「それは……ホンマに悪かった」

「私以外だったらとっくに振られてますからね」

「……え？」

「……その必死な顔に免じて許してあげますよ」



改めて顔を覗いてみると……



「でも……暫くは好きって言ってあげません」



Aは微かに笑っていた



「……仕切り直してええか？」

「嫌です」

「悪かったって！今度はちゃんと優しくする！」

「……」



無言でくっついてくるAにはもはや可愛さしか感じない






「俺、愛されとるなぁ」

「……アホ」





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