ヒューマンバグ大学 中編集

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「……大智」

「おん？どうし……」



＿＿ギュッ



「A？」

「好き」

「っ！？」



一体どうしたのか。好きと言われるのはこの上なく嬉しい。
……けれど、今は驚きの方が大きかった



「……それだけです」

「そ、そうか？」



しかしその日はそれだけで終わらなかった



「先にシャワー入ってきますね」

「おう。ごゆっくり」

「一緒に入ります？」

「ホンマに！？ええの！？」

「……嘘」



項垂れる渋谷を他所にAはクスクス笑いながらその場を
離れた




＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

＿＿＿＿＿＿＿＿＿







「何かあったんか？A」



おかしい、何かがおかしい。いや、悪いとは言わない。
むしろ可愛いと思う。だけど……



「あんなん調子狂うわ……」



ふと渋谷は固まる。そして頭に思い浮かべた事をそのまま
口にしてしまった






「……浮気？」






＿＿最近急に優しくなって……でも実は浮気を隠す為に……





随分と前に舎弟がそんな愚痴を零していたような気がする

その時の渋谷は気付かんお前もどうかと思う、なんてキツイ事を
投げかけていたのだけれど……



「いや、まさか。ありえんって……Aに限ってそんな」



とは言いつつ諸々の事を考えると何故かシックリときてしまう。
そうこうしているうちにAがリビングに戻ってきた



「……大智？どうし」

「浮気しとんのか」

「えっ……？」



ただ驚いて聞き返しただけなのに……思い込みとは怖いもので
渋谷はそれが図星を突かれたのだと勘違いしてしまったようだ



「それなら急に甘えてきたのも納得出来るもんなぁ……で、
　いつからなん？」

「え、ちょ……待って下さい」

「別にええで？浮気でも何でも。まぁソイツをやるのは
　Aに徹底的に叩き込んでからやな」



いつから違和感が疑惑に、疑惑が確信になったのか。下手に
抵抗すれば本当に骨が折れそうな程に腕を捕まれたAは
必死に渋谷を止めようとする

しかしそんな中途半端な力で止められる訳がない






「Aだけは渡せん」



それは一体、誰に向けた言葉なのか。それは渋谷にしか
分からない




*

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