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「あ゛ー。」


声から察するに、コネシマは大層不機嫌と見える。
己の弱さを反省しながら、エーミールは恐る恐る顔を上げた。


ここはコネシマの自室。
大量の資料やら本やらが置かれた床を、道を自身で切り開くようにして、エーミールはコネシマに寄った。
エーミールが困った表情になると、コネシマの表情が少し和らぐ。

「エミさんは責めてへんで。」
その言葉に、エーミールはへ、と間抜けな声を漏らした。
とりあえず座りいや、と用意された椅子に、エーミールは腰掛ける。

「俺が苛立ってんのは、Aが鼻血出して泣いとること。痛みやら恐怖やらに、負けて泣いてんのに腹たっとんねん。」
そう言って、ペンを回し始める。
苛立ったら、近くにあるものをいじりだすのが、コネシマの癖だ。

「ロボロさんの平手打ちって、痛いと思いますよ......。」
Aに対する、エーミールの擁護に、コネシマは、ペンを放り投げた。

「痛いから、怖いから。そんなんで泣いとったら、前となーんも変わってへんやん。
俺の犬になるって、彼奴はあの日言った。弱虫のままなんやったら、訓練しな、な。」

その言葉にエーミールの体は震えた。
訓練という名の、一方的な力でねじ伏せているだけのもの。
コネシマの手首を、エーミールは掴んだ。


「何しようとしてるんですか。」
「何って、なんや。ええか、今回の鼻血は折れなかった勲章や。やけど、涙はいらんもんや。
いらんもんは、捨てへんと効率が悪くなる。」

その声には、なんの罪悪感も持っていない。
コネシマがインカムを操作している。

「A、俺の部屋、来い。」
その声は、予想に反し、少し戸惑ったような声だった。



『失礼します。』
何回聞いたであろうかという声に、コネシマは不思議と苛立たない。
コネシマには、近くにいるエーミールが、立ち上がったのが見えた。

こっち来い、とだけ告げてコネシマはAを近寄らせる。
そして、そのままAの頬近くまで、ごつごつとした、角ばった手のひらを持っていって、



むに、と掴んだ。

、→←・鼻血は勲章、涙は不用。



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2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です!わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです!こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか? (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか? (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです!続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蠱毒 | 作者ホームページ:@kodomikodoku  
作成日時:2022年8月7日 18時

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