・微笑む蝶と、小さな爆弾 ページ23
「よかったら、今度図書館に来られませんか?」
誘いをエーミールから、もらったはいいものの、書類仕事や訓練に追われていて、足を運ぶことができたのは、一週間後だった。
書類仕事を、コネシマのところに運んで、そのまま図書館へと赴く。
図書館の周囲は、花が広がっていて、閑静な場所だった。
夾竹桃を見たのも、ここら辺だったな、と思いながらAは歩く。
重い図書館の扉を、軋ませながら、開いた。
『うわ......。』
眼の前に広がっていたのは、大量の本。
本に見とれて歩いていたが、気を取られてはいけない。
エーミールに会いに来たのだ、という目的を頭において、Aは歩き出した。
古文書や、図鑑から、流行っているらしい小説まで。
どんな本でもあるのに、エーミールの姿は見当たらない。
ふと、一角にある大量の紙にまみれた机が目についた。
気になって、Aが覗き込むと、しきりに紙に何かを書く、エーミールがいた。
『女性への信書ですか?』
Aの声に、エーミールは、うわ、と派手な声を上げ、顔を上げた。
「Aさんか......。ラブレターじゃないですよ。設計図です。シャオロンさんから、改良を頼まれたので。」
『見せてもらってもいいですか。』
はい、とAに手渡された図面は、方眼紙で無いにも関わらず、正確だった。
Aが設計図に見とれていると、蝶が手の甲にとまった。
「ああ、来ましたか。」
エーミールの言葉に、Aは来るんですか?と聞いた。
机上の紙をまとめながら、エーミールは嬉しそうにうなずいた。
「何故か、毎年違う個体が来ているはずなのに、懐いているんですよね。」
ふふ、と笑うエーミールの手の周りを、蝶がくるくる回っている。
久しぶりに一息ついたな、と思いながらAは設計図を、机上に戻した。
こういうものを、人はフラグと呼ぶ。
ゆっくりと、図書館の扉が開かれる音がした。
「エミさんおるー?」
初日の日、Aに反対した小柄の男の声だった。
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2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です!わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです!こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか? (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか? (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです!続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蠱毒 | 作者ホームページ:@kodomikodoku
作成日時:2022年8月7日 18時