、 ページ43
ルピナスは、何時もの品の良さに似合わず、爪を噛んでいた。
これで、左手の指全部が、深爪になった。
血が滲むのも気にせず、懲りもせず噛んでいる。
口の中に広がる血の味をよく味わいながら。
「何処で漏れた。何処からわかった。」
意外なルピナスの共犯者を、彼女は死ぬほど嫌っていた。
ルピナスが最も嫌う人間の特徴を、持っていたからだ。
手駒にしたあと、手酷く捨ててしまおう。とルピナスは切り替える。
生に執着した、女の最期が見たくて仕方がない。
「食事に誘おうかしら。」
Aのウザい顔を思い出して、ルピナスは息を吐いた。
「A。」
コネシマの声に、Aは思わず肩を飛び上がらせた。
二回目に顎を捕まれた日から、Aの生存本能は異様なまでに強まっている。
固くなった表情筋を、なんとか、上にあげながらAは後ろを振り向いた。
Aの予想とは別に、コネシマともう一人、人間がいた。
ルピナスである。
一昨日のような、憎悪にまみれた表情は消え、人当たりの良い笑みだけが、顔の上にくっついている。
「Aさん。一緒に食べませんか？」
ルピナスの気持ちが悪いほど優しい声に、Aは表情を固くした。
コネシマは、会わせたかっただけなのか、いつの間にか消えている。
『お誘いありがとうございます。』
此方も同様、とびきりの笑みを張り付けて、Aはルピナスの瞳を見た。
ルピナスの自室に、上がらせて貰い、Aはサンドイッチを机に置いた。
座って、という指示におとなしく従い、Aはルピナスと向かい合う。
「順調に行くのかしら。」
『ルピナス様次第でしょうね。』
少し嗤うような調子でAは言った。
特に怒りもせず、ルピナスはそうね、とだけ呟いた。
サンドイッチの咀嚼音が、部屋の中に響く。
会話が続かずに。
「あの方の為にもやらないと。」
またあの方か。とAは呆れる。
ルピナスのそれは、恋心というよりか、崇拝しているの方が正しい気がAにはした。
「五日後には全てが決まってるわ。」
勿論、貴女の運命も。とルピナスは心の中で笑っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
2(プロフ) - 蠱毒さん» 大丈夫です！わざわざありがとうございます( . .)" (4月1日 23時) (
レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
蠱毒(プロフ) - 2さん» ありがとうございます。そう言って、いただけて嬉しいです！こみゅーのメッセージの方にパスワードを送っても宜しいでしょうか？ (4月1日 9時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
2(プロフ) - 面白くて続きが凄く気になるのですがパスワードが掛かってて続きを見れません💦良かったら教えてくれませんか？ (4月1日 2時) (レス) id: 6ca65a7c69 (このIDを非表示/違反報告)
くろねこ(プロフ) - とても面白かったです！続きが読みたいのですがパスワードが…教えて貰えないでしょうか、、 (1月11日 1時) (レス) @page50 id: f664205a1a (このIDを非表示/違反報告)
こがしアイス(プロフ) - インクさん» さあ、どうなるのでしょう。続編も是非、お楽しみください。 (2022年8月12日 23時) (レス) id: 8cf3c0ec6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蠱毒 | 作者ホームページ：@kodomikodoku
作成日時：2022年8月7日 18時
