【BTS】誰かをぎゅっと抱きしめて泣いてしまいたい日 (ページ7)

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ーー秋になりかけた夏の夕暮れ時。

自動ドアを潜り抜けて私を覆った、
エアコンの効いた建物から
突然生温い肌にまとわりつくような空気だって、
ジンさんに頼まれたお使いを考えれば
全然気にならないし、足取りは軽い。

ジンさんに何を買おうか。
ジンさんは何を食べたいだろうか。
ジンさんは何が嫌だろうか。

出前でも良かったはずなのに、
わざわざ私に頼んできたということは、
出前では頼めないもの？

この出前文化のソウルで出前が
出来ないものなんてあるだろうか......。

たくさんの看板を見てもなんだかピンと来なくて、
結局この蒸し暑さにサッパリしたものを
選んでしまった。

買う瞬間は、
「よし！これで間違いない！決まりだ！」と
自信満々に思っていたのに、

事務所への帰り道では、
「本当にこれで良かったのか、もっとコッテリ
したものが食べたかったかも。どうしよう。」
という不安に襲われた。

ただ、信号待ちをしている時に、
ふと見上げた夕焼け空に
綺麗な飛行機雲が伸びていて、
ああなんだか大丈夫って思えた。
なんの根拠もないけどね。

一旦デスクに戻ってから
ジンさんに届けようと思った私がバカだった。

先輩「Aさん、ジンさんにイートジン用の
食べ物頼まれてましたよね。
何にしたんですか？」

A 「今日も蒸し暑いので、
水冷麺とマンドゥにしました。」

先輩「......(笑) え、どこが暑いんですか？(笑)

この建物内温度調節してて常に適温だから、
暑いも寒いもなくないですか？

しかも今日ずっとダンス練習で
エネルギー消費してるのに冷麺とマンドゥって(笑)
本当Aさんは気が効かないですね。」

そうか、暑いのは外に出た私だけだった。

一日中練習をしていたジンさんに
暑いも寒いも関係なかった、
と妙に先輩の言ったことに納得してしまった。

先輩「それにイートジンで冷麺とマンドゥって
なんか質素で見栄え悪いですよ。

世界のBTSソクジンが冷麺とマンドゥって(笑)

本当に想像力も乏しくて逆にウケますね。」

いつもなら悔しい覚えてろ！と思うのに、
今日は先輩の言葉がスッと入ってきて、
私はまだイートジンに間に合うのを確認して
ステーキの出前を頼んだーー。