ホグワーツの初恋 year3 (ページ10)

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#85 ページ10

「エリー」

次の日校内を一人で歩いていたところ、後ろから呼び止められた。セドリックだ。

『セド？』

「良かった、すっかり元気になったんだね」

『うん！あ、お見舞いの品ありがとう』

「凄く心配したんだよ」

眉を下げて、こちらを見つめるセド。
彼がすごく心配してくれていたことが分かり、後ろめたさを覚えた。

『ごめんね』

「………」

『……えっと…』

沈黙が訪れる。
すると彼が近付いてきて、きつく抱き締められた。

「……はぁ」

セドの心臓の音が聞こえる。きっと私の音も聞こえているはずだ。

「僕達は友達だよ。友達なのに相談もされず、知らないうちに怪我をしてるなんて、僕にももう少し頼って欲しかった」

そっか。思い返せば、私は自分であの子達を守ろうと一人で突っ走っていたかもしれない。フレッド達も昨日は色々言わなかったが、きっと思うところがあったかもしれない。

可愛がってるロン達が入学して、頼りになるお姉さんになろうと、少し背伸びしすぎていた。

『…うん、ごめんね。ありがとう』

「……よし！僕の気持ちは伝わっただろうし、君の彼氏に嫉妬されても困るからね」

これでおしまい。と彼は離れた。
友達同士のハグでそんなに嫉妬されるかしら？ハグくらいならみんなするだろうに…。

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不思議な顔をしているエリーだが、君が思っている以上にエイドリアン・ピュシーは嫉妬深い男だった。

君が眠っている間に何度か医務室に行こうとすると、必ず彼もいたのだ。エリーの言う通り、確かに彼は、誠実でイケメンで、優しくていい男なんだろう。しかし、好きな女に好意を持つ男には、少し容赦がなかった。なんというか、俺の女に触るなといった感じを醸していた。

「もう遅いんだが」

『エイディ？？』

「あぁ、悪い。変な意図はないんだ。ただ、友達が元気になったのが嬉しかったんだよ」

しまった。後ろからピュシーが来ていた事に気が付かなかった。遅いということは、きっと見られていたんだろう。

「エリー。行こう」

『え？あ、うん。セド、またね』

彼に呼ばれて、エリーは行ってしまった。

関係をみんなに言うつもりはないと言っていたが、恋人繋ぎにしたのを見るに、彼はきっとばらしたいんだろうな。

そして、去り際にしっかりと睨まれてしまった。

「はぁ……」

ホグワーツの初恋の名は伊達じゃないな。