ホグワーツの初恋 year3 (ページ5)

今日:13 hit、昨日:20 hit、合計:8,257 hit

#80 ページ5

本当の事を言う訳にはいかないハリーは、咄嗟に嘘をついた。ハリーの動きを注意深く見ていたエリーも、彼が何かを見つけたことに気が付いていた。

「ぼ、僕がダンブルドアと握手してる。グリフィンドールが優勝して…」

「嘘だ」

また囁き声が聞こえる。エリーは、姿は見えないが、その声の持ち主が誰なのか検討がついていた。

「本当のことを言え！何が見えるんだ！？」

嘘と言われたクィレルはハリーに声を荒らげた。

「わしが直に話す」

「あなたはまだ弱ってらっしゃいます」

「その位の力ならある」

囁き声と会話をしていたクィレルはその言葉を聞いて、鏡を背に、頭に巻いていたターバンを取っていく。その隙にハリーは後退りし、エリーもハリーの元へと降りた。

ターバンを脱ぎ、鏡に写った彼の頭の後ろには、顔があった。

「…ハリー・ポッター。また会ったな」

「ヴォルデモート…」

「そうだ。見ろ、この姿。こうして人の体を借りねば生きられぬ、寄生虫のような様を。ユニコーンの血でかろうじて生きているが体はとどめられなかった。だからあるものさえ手に入れれば、自分の体を取り戻す。そのポケットにある石だ」

見透かしていたヴォルデモートの言葉を聞いて、エリーはハリーを押して急いで逃がそうとした。

「捕まえろ！」

しかし、クィレルが指を鳴らすと、炎により行く手を阻まれてしまった。

『“Aguam─”』(水─)

「邪魔をするな！」

クィレルと退治していたエリーが、ハリーの方を向いて炎を消そうとしたが、クィレルにより首を掴まれて投げつけられた。辛うじて意識は保ったものの、打ち所が悪く、頭から血を流していた。

「エリー！！」

「馬鹿な真似はよせ。死の苦しみを味わうことはない。わしと手を組んで生きればよいのだ」

「嫌だ！」

「ははっ、愉快だなぁ。親に良く似ておる。どうだ、ハリー？父と母にもう一度会いたくはないか？２人でなら呼び戻せる」

その言葉に父と母の姿が思い浮かぶ。
そして、ゆっくりと右ポケットから賢者の石を取り出す。

「その代わりにある物をよこせ。そう、それだよ、ハリー。この世に善と悪などないのだ。力を求める強き者と求めぬ弱き者がいるだけだ。わしとおまえなら全て思いのままにできる。さぁ、その石をよこせ！」

「You liar!」
(嘘つき！)