ホグワーツの初恋 year3 (ページ2)

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「いや、墓地じゃない。チェスの盤の上だ」

周りが明るくなり、巨大なチェス盤が顕になる。私たちは大きな黒の駒の間を抜け、チェス盤の中央に立った。目の前には白の駒があり、その奥にはドアがある。

「ドアがある！」

先に進もうとすると、白のポールが一斉に剣を抜いて立ちはだかった。どうやらまた一筋縄ではいかないようだ。

「どうしたらいいの？」

「It's obvious,isn't it? We go to play our way across the room.」
(チェスの試合をして向こう側へ)

魔法使いのチェスを得意とするロンは、率先して私たちに指示をした。彼に最初にチェスを教えたのは私なのに、気付けば私よりも上手くなっていた。今一番頼りになるのは確実にロンだ。

「よし。ハリー、君はビショップの位置について。ハーマイオニー、君はクィーン側のルーク。エリー、そして僕は、ナイトの位置だ」

各々が配置に立つ。ハリーとハーマイオニーは駒の代わりに立ち、私とロンはナイトの上に乗った。

「この後、どうするの？」

「まず先手は向こうの白の駒。次が、僕たちだ」

相手の一手目でポールがE-4へと動く。

「ロン、まさか本物の魔法使いのチェスをここでやるんじゃないわよね？」

「You there,D-5.」
(Ｄ-５に動け！)

ロンの指示でポールがD-7からD-5へと進んだ。そして、先にいた相手のポールが、剣を振り被り、破壊した。その光景を見て、息を飲む。

「そうだよ、ハーマイオニー。このゲームはまるっきり魔法使いのチェスと同じだ」

試合が進むにつれ、次々と壊れる駒。

「…ルークをE-4へ移動！ポーンをC-3へ！…」

ロンは、ハーマイオニーを安全な位置であるF-8に。私はA-6、ハリーはA-3へと動かした。彼自身はG-5にいる。

そこで、私とハリーは彼がしようとしている手に気付いた。

「ちょっと待って」

私とハリーの声が被った。次の手でロンは、相手のポーンとナイトの間。白のクイーンの導線上に位置するH-3に移動するつもりだ。それはつまり、彼が自分を犠牲にする手だ。

「2人ともわかった？この次の一手で僕はクィーンに取られる。そうすればハリー、君がチェックメイトだ！」

「ロン！駄目だ、やめろ！」

『待ちなさい、駄目よ！』