【イナイレ】おお、神さまは天の上:序 (ページ10)

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『父さんに円堂のことを報告していないだろうな？』

「はい、若様。報告はお1人で散歩していた、とお伝えしました。」

『なら良い、下がれ。』

玄関で使用人を下がらせて、通路を進む。風呂場に足を進め、若干汚れた服を洗濯機に放り込んだ。風呂に入った後、スリッパに履き替えて部屋へと戻る。

『……父さんに円堂と会ったことがバレたら、どうなるかと考えると頭痛がしてくるな。』

バレてはいけない、バレてしまってはまた引き離される。自分を連れて遊んでいた円堂と風丸を、父はよく思っていない。円堂が言っていた、病院を教えてくれなかったというのも、父の大人気なさが原因だ。

『くだらん感情に振り回されて……情けないな、あれでも大人か。』

まるでここは牢獄だ。

理想を押し付け、使命を決定される。決して逆らわぬよう教育され、それでも逆らえば手が出る。

『ははッ、子供の様に感情的な人だ。』

自分は人形ではない、感情を持った生き物だ。いざとなれば牙を剥く、獣にもなりうるだろう。

『どうして今までは頭を下げて、許しを乞うていたんだろうな……』

今までの自分なら円堂たちに手を引かれ、遊んでいることがバレれば父に頭を上げていた。

だが、今は何故かそんな気など起こらない。

『……恐怖心の欠如？それとも、記憶のない3年で心変わりでもしたのか？』

いずれにせよ、今までの自分ではない。

それだけは分かった。