【イナイレ】おお、神さまは天の上:序 (ページ4)

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『……ぅ、』

誰もが寝静まった夜、寝苦しさにふと目を覚ます。目を開けると、そこには豪華な天井が視界を埋めた。

『……帰ってきたのか、家に。』

あれから病院で医者に説明されたのは……

自分には11歳の事故当初から、現在13歳までの記憶がなくなっているらしいということ。

俗に言う、記憶喪失だ。

それ以外、身体に別状はなく、リハビリをすれば直ぐに動けるようになるらしい。病院よりも家の方が記憶を思い出すのではないかと、医者は気を遣って自宅療養の方法を選んでくれた。

『確かに、父さん老けていたな。』

ふと、病院に迎えに来た父を思い出す。

記憶に残っていた父よりも、随分と歳をとっていた。と言っても、父は仕事人間でなかなか会うことがなかったため、余計時間を感じるのだろう。

『……相も変わらず、冷たい人間。』

自分の父は仕事人間であった、有名所の会社社長。そんな父は、息子に後を継がせるという理想をいつも自分に押し付けていた。スポーツ選手に憧れている自分を見て、顔を険してさせていたのをよく覚えている。遊びに行くのではなく、家で勉強や仕事を覚えろと怒鳴られた。

『やっと退院した息子に、早く完治させて私の後を継ぐよう努力しろだもんなぁ……人の心が無いのか、仕事人間め。』

父とはそういうものなのだろうか。

『喉、乾いた。』

ふらつく脚で、部屋から移動する。この時間は使用人も寝ていて、話し声すら聞こえない。ただ、警備の人間が黙ってそこに居るだけだ。

「若様、どうかなされましたか。」

『喉が渇いたのさ、水を飲みに来ただけだよ。』

警備の人間を通り過ぎ、キッチンへと向かう。1番前のコップを手に取り、蛇口を捻った。

『……さぁ、明日から勉強やらリハビリの地獄みたいな生活が待ってるぞ。』

頑張りたまえよ、明日の自分。

思考を放棄して、再び眠った。