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目を開けると、白い無機質な天井で視界がいっぱいになる。体勢を変えずに目を動かし、今の状況を確認した。
ここはどうやら病院らしい。
『……ぁ。』
人が居た、多分看護師だ。無意識に零れた声が耳に入ったようで、看護師はこちらに振り返る。目が合うと看護師はその場から駆け足で部屋を後にし、その後ろ姿を見送った。
『水……』
身体を起き上がらせると、乾いた喉が水を求める。病室を見渡し、水道を見つけてベッドから降りた。
『……わ、と。』
ぺたん、と床に膝を着いた。起き上がろうと力を入れるが、脚が思うように動かない。
「……！」
立つことが出来ずに戸惑っていると、からからと病室の扉が開いた音がした。目を向ければ、医者と思われる人物が早足で近づいてくる。
「もう動こうとしたのか、立てるかい？」
『……自分の力ではどうにも。』
力を入れても膝が震えるばかりで、一向に立てる気配がない。医者は手を取って、ゆっくりと引き上げてくれた。
「それにしても、目覚めてよかったよ。」
医者は安心したように笑って、看護師にバインダーを持ってこさせた。
「初めまして、俺は君の担当医です。
早速だけれど、質問をしても大丈夫かな？」
『大神Aです、質問をしても大丈夫です。』
医者はバインダーに挟まった紙に文字を記入し、深呼吸して質問を始めた。
「君はどうして此処に居るか、分かる？」
『事故に遭いました、母と……』
ふと、思い出したように医師に問う。
『母も一緒にいました、母の状態はどうなっているんでしょうか？』
あれだけ大きな事故だったのだ。自分も病院送りということは、きっと母だって無事ではなかった筈。
医者は固まった、暫くして表情を深刻なものに変えて口を開いた。
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年2月18日 2時
