人間AIの姫とヤクザの王子【碧棺左馬刻】 (ページ17)

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The manifestation of a savior 4 ページ17

左馬刻side

Aの目に浮かんだ涙からコイツが相当苦労していたことがわかった

中王区は何するかわかったもんじゃねぇ

Aは零れ落ちる涙を手で拭いながら話し続ける

『そして今日、仕事を終わらせて家に帰るとお父さんと弟の様子が変で…。結局追い出されてしまったと言うわけなんです。長ったらしいですよね、すみませ…っ！？』

俺は気づくとAの唇を奪っていた

身を乗り出し、Aの顎を持ち上げながら何度も角度を変えて重ね合わせる

そして唇を離し、目元に残った涙を舌で舐め取った

俺自身、何でこんな事をしているのか分からない

まだ出会って少ししか経ってねぇぞ

だが本能的にそうしたいと思った

愛を与えてやらねば今にも消え入りそうだ

Aはどこか合歓に似ている

合歓のときは守れなかった分、コイツだけは俺様が絶てぇ守ってやりたいと思った

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Aside

話し終わった途端に顎をすくい上げられ、柔らかいものが唇に触れる感覚を覚えた

私は今、左馬刻さんと唇を重ね合わせている…

恥ずかしくて目を開けられずにギュッと瞑っていると目元に溜まった涙が頬を伝ってこぼれ落ちた

息が続かなくて段々と苦しくなってくる

けれどそれもお構いなし、まるで“もう二度と離さない”とでも言うように

そもそも私、これがファーストキスなんですけど

でも、ファーストキスを左馬刻さんに奪ってもらえたのはちょっぴり嬉しい

男の人と付き合ったことがなかったわけじゃないけれど、そこまで進行することはなかった

つまりは上辺だけの関係

だからこういうことをするのが初めてでドキドキしている

それに比べて左馬刻さんは慣れているのか手付きがスムーズだ

顎をすくい上げるときも角度を変えながらキスをするときも

左馬刻さんは出会って間もない人ともこういう事ができるんだと思うと少しだけ複雑な気分になった