得体の知れないもの (ページ33)

今日:42 hit、昨日:2 hit、合計:14,016 hit

得体31（編集済）ページ33

死んだAはどうなったか、死んだ。だが、正確に言うと彼の体の中に居た。
？「はは！これでやっと実験を始められるよ！なにせ、復讐心がある子じゃないと成立しないんだよ！さぁ、痛いけど、少しいじろっか」
そう、一人の部屋で笑っている彼は死神と例えて言いほど狂気的だった。

そして、実験が成功するとどうなるのか。
まず、取り込んだ人間の容姿となり、記憶はあるにはあるが、最初はほとんどない。いわゆる生まれたての赤ちゃん状態だ。
年月が経つにつれ、記憶があの男の記憶と女の子の"復讐する"という記憶だけが生まれる。
だが、二人の体を混ぜたため、一日を二人の性格で行き来している。そして、あの男のほうの性格になると、すべてを知っている。少女の過去も自分のことも。
この実験は世界には公表されなかった。そりゃあそうだろう。開発者だけがあの人物となれば、死んでは元もないのだから。
その元凶である男の名前は

リーバー・ジェインツ

そして、この実験の名は

"復讐の血の海"

この実験については真祖も知らないことだった。むしろ、知りたくても知れることではない。いくら拷問しても吐き出さなかった。

実験が成功後、彼は、彼女は徐々に育っていき、0才の身長から6才の身長くらいまでのびた。けど、それ以降まったく伸びることはなく、そのままだった。ただ、ずっと変わり続けているといえば彼女の、彼の記憶が徐々に戻ってきてそれ相応に狂ってきていたのだった。

だから、今の彼女の、彼の状態でもまだ、完全には取り戻してはいないのだ。

貴「A、びっくりしたでしょ？しかもね、この墓、僕が用意してあげたんだよ。遺体はあるけど、中に残ってるのは骨と皮だけさ。それ以外は僕が取り込んだからね。きっと、まだまだ思い出すよ。今、思い出してるのはここだけだもの。そこから真祖に会うまでの記憶がまだなんだよなぁ。楽しみだなぁ。見ていてね？A。君の復讐劇も果たすから……！！！」

そして、少し夕日が沈むころ一人で霊園で笑っていた姿は何ともも不気味だった。